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asa(あさ)
映画が大好きな28歳会社員

年間300本程度の映画作品(洋画がほとんど)を鑑賞している映画好きです◎

アカデミー賞で輝く俳優・女優の姿に感動し、アカデミー賞などの映画賞をもとに映画の魅力を発信しています。

【ネタバレ解説】ドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』プーチンと闘い続けた男の過去と今

ドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』は見ましたか?

ロシアでカリスマ視されたナワリヌイという男が暗殺されかけた事件の真相を真正面から描いた衝撃の作品です。

そんなハラハラ・ドキドキの本作品は、2023年第95回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。

ナワリヌイって誰なの???

こう思う人も多いのではないでしょうか?

ロシアで実際に起った事件を捉えた本作品を見ることで、世界の裏側を知ることができます!

mii(みー)

なんか難しそう・・・

asa(あさ)

この記事でしっかり解説するよ!

映画『ナワリヌイ』の概要・あらすじを紹介するとともに、プーチン大統領に真っ向から抗った男の姿とその闇に包まれた真実を徹底的に解説しています。

※この記事はネタバレを含みます。

昨今、ウクライナ侵攻で世界を賑わせているからこそ、今チェックしておくことをオススメします!

目次

概要・あらすじ

出典:https://edition.cnn.com/shows/navalny-cnn-film

2022年に公開されたドキュメンタリー映画作品で、実在するロシアの政治活動家であるアレクセイ・ナワリヌイの生死を彷徨う大事件と、その裏で何が起こっていたのかをジャーナリズム的な視点から描いています。

フィクションではなく、実際にナワリヌイ自身が出演し、闇が暴かれていく様子が実直に映されているので、臨場感が満載です。

2023年第95回アカデミー賞や2023年第76回英国アカデミー賞(BAFTA)では、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞し、一気に注目を集めました。

監督:ダニエル・ロアー
時間:98分
配給:トランスフォーマー
制作:アメリカ
上映:2022年6月17日

予告動画

あらすじ

2020年ロシア

以前からプーチン大統領政権に対して反対的な声をあげ、反体制派のカリスマとして人気を誇っていた政治活動家のナワリヌイが、突如として飛行機の中で倒れ、意識を失ってしまう。

ドイツの病院にて、なんとか意識を取り戻すも、毒による暗殺未遂であったことが明らかになる。

何者の仕業なのか、周囲の力を借りながら次第に真相が明るみになるが、それは驚くべきものであった。

ネタバレ解説

それでは、本作品のネタバレ解説にいきましょう!

作品内で描かれていた部分のみならず、その前後に起こったことや、当時のロシアの情勢などについても解説しておりますので、そちらもチェックしながら読んでみてください♪

ロシア政府の体制について

まずは本編の内容に入る前にこれまでのロシア政府の体制について解説します。

このことを知っておくと、本編の内容がより具体的にわかりますので、ぜひチェックしてください。

昨今、ウクライナ侵攻問題で世界を大混乱に導いているロシアですが、そのトップに君臨するのは、みなさんもご存知のプーチン大統領です。

このプーチン大統領は、2000年から大統領に就任し、その後幾度となく大統領選挙に勝利し、その任期は2024年まで続くことがわかっています。

プーチン大統領の任期の歴史

最長2期まで、という大統領の任期を逆手に取り、一度側近に大統領を任せ、自身は首相を務めることにより、再度大統領となりました。

大統領を務める中で、財閥や石油会社を国有化し、さらにはテレビ局を買収することにより、自身の人気を引き上げるための強烈なプロモーションを行ってきています。

その影響力もあり、4年の任期を6年にまで引き上げ、2024年の大統領退任以降も権力を保持するための法案を可決させることにより、実質的には終身大統領となるとも言われています。

この事により、ロシアは独裁体制の道を辿ることとなり、反体制派は幾度となく鎮圧されてきたのでした。

「ナワリヌイ」って一体何者??

そんなロシア政府の体制の中で現れたのが、本作品の主人公であるナワリヌイという男です。

アレクセイ・ナワリヌイはロシア出身の政治活動家であり、2009年頃からプーチン大統領の体制をたびたび非難してきていました。

その活動は過激で、政府の不正を追求し続け、マスコミなどにも大きく取り上げられ、一部の層から熱狂的な人気を博していくことになります。

2012年頃からその名は知れ渡り、「プーチンが最も恐れる男」という異名で紹介されたり、「世界で最も影響力のある100人」にロシア人で唯一選出されたりと、その活動は勢いを増していきました。

SNSの時代となってからYoutubeやTwitterなどで政府を追及する動画をアップしたり、反政府デモを行ったりなどして、ロシア政府に何度も身柄を拘束されています。

彼は一貫して、プーチン大統領の独裁政権になることによる自由や権利の剥奪に対して訴え続けており、中央集権的な支配に対する抵抗の姿勢を示していました。

ナワリヌイを襲った毒殺

2020年、そんな彼に悲劇が訪れます。

モスクワに向かう飛行機の中で意識不明となり、飛行機の緊急着陸により病院に搬送されることになりました。

なにか毒物を盛られていたのではないか?と疑われましたが、病院には誰も入ることができませんでした。

主治医は、ナワリヌイの妻ユリアをはじめとした関係者との接触を執拗に避け、肝心のナワリヌイの様態については全くと言っていいほど明かしません。

不審に思った妻ユリアは、国外への転院をしようと試みますが、それも拒否されてしまいます。

ここについては、名言はされておりませんが、ロシア政府の手が入ったと言ってもいいでしょう。

完全に隠蔽を図り始めたのです。

最後まで明らかにはなりませんでしたが、救済を容認したドイツの病院への転院が認められ、ナワリヌイはドイツ・ベルリンの病院にてなんとか一命をとりとめました。

実際の映像が流れていますが、ロシアの医師は世界中の誰が見ても明らかな違和感を抱いてもおかしくないような対応を取り続けています。

「あ、なにか隠しているな」と思わざるを得ません。

ナワリヌイに息を吹き返されると困る人物たちがいることに疑う余地はないでしょう。

信じられない闇を暴く

ドイツの病院で衝撃の事実が判明します。

ナワリヌイの体内から毒物が検出されたのです。

その名は「ノビチョク」という神経剤で、ソ連時代、NATOなどに対抗するために開発された正真正銘の化学兵器です。

そのニュースを知ったクリストというべリングキャットの主任調査官は、本格的な調査に乗り出しました。

mii(みー)

べリングキャットってなに??

べリングキャット

国家機密や軍事機密を調査し、真相をスクープする調査報道機関

クリストは、べリングキャットの調査力を駆使して、容疑者を突き止めます。

なんと、正体はFSB(ロシア連邦保安庁)の工作員だったのです!!

asa(あさ)

これは衝撃ですね!

これは、つまりどういことなのか?

FSB(ロシア連邦保安庁)とは、犯罪対策などを行う治安機関であり、かつてプーチン大統領が長官を務めた組織です。

大統領が、国内で起こりうる危機に対する対応を強化するために指示を出すなどしているのですが、すなわち、ナワリヌイの暗殺未遂は政府の息がかかっているのではないか、ということになります。

真相は闇の中ですが・・・

このことが明らかになり、ナワリヌイは自ら戦う姿を見せ、ここからは非常に息を呑む展開で、ハラハラ感が頂点に達します!

工作員を装い、自らを殺めようとしたFSBの工作員に電話をかけ、真相を掴むことに成功しました。

まんまと騙されて自供した瞬間、ナワリヌイとクリストがハイタッチしたシーンはとても印象深いものでしたね。

その様子はYoutubeで公開され、あっという間に何百万回という再生回数を記録し、このロシア政府の秘密裏に行われたとされる事実が世界中で明らかにされました。

プーチン大統領は否定したものの、それを信じる人が果たして何人いたのでしょうか?

それでも自由は訪れない

この一連の勇気ある行動から、ロシア国民の一部には英雄として扱われ、ナワリヌイは帰国することになります。

モスクワに向かう飛行機内では多くの乗客が写真を求め、その人気が伺えますね。

到着予定の空港では民衆が群がり、彼の帰国を待ち侘びていました。

しかし、あまりにも非常な現実が待っているのでした。

空港でナワリヌイに賛同する声をあげる者は軒並み警察に取り押さえられ、連行されていきます。

厳戒態勢のロシアの公権力に為す術はありません。

ほどなくしてナワリヌイが空港に到着後、入国審査をしている最中に警察に拘束されてしまいました。

ロシア内では、このことに対するデモが巻き起こり、1日5000人以上もの市民が拘束される事態に発展しています。

ナワリヌイは、2023年3月現在も収監中で、収容所の中からSNSを通じて活動を続けています。

本作品の最後に彼はこんな言葉を残しています。

「悪が勝つのは、善人が何も行動を起こさないからだ。決して諦めるな」

長年、反体制運動を続け、民主主義の尊重と自由を訴えた彼の言葉は、多くの市民に一縷の希望を与えているのかもしれませんね。

2023年第95回アカデミー賞受賞!

2023年第95回アカデミー賞で、本作品は長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。

授賞式前の事前予想において、圧倒的な支持を得ており、受賞は確実視されていたので、まさに予想通りといった感じでしょう。

また、アカデミー賞のみならず、2月にイギリスで開催された英国アカデミー賞においても、長編ドキュメンタリー映画賞を見事受賞しました。

後ほど詳しく触れますが、世界がこの作品を称賛するということが現在のロシアへの姿勢とも取れると言っても過言ではありません。

ナワリヌイ本人は登壇できず

アカデミー賞授賞式には、もちろんナワリヌイ本人の姿はなく、監督を始めとしたスタッフ陣と妻ユリアが登壇していました。

現在、投獄中ですから当たり前ですよね。

妻ユリアは壇上で熱のこもったスピーチで以下のように述べました。

「夫は真実を話しただけで、民主主義を守ろうとしたのに収監されてしまった」

ロシアにはロシアの治め方があり、そのすべてを知ることはできないのでしょう。

しかし、本作品を見る限り、たしかに妻ユリアの言ったことはその通りだと思ってしまう人もいるのではないでしょうか?

日本では「出る杭は打たれる」と言いますが、出過ぎた杭として打たれた状態のナワリヌイは獄中でこの世界的な祝福を受けることとなってしまったのです。

『ナワリヌイ』の受賞は、世界へのメッセージ!?

本作品で監督を務めたダニエル・ロアー監督は壇上で以下のようなスピーチをしました。

「我々は独裁者や権威主義に対抗することを怖がってはいけない」

会場は大きな拍手喝采に包まれ、このスピーチに賛同したと思われる空気が漂っていました。

この名誉あるアカデミー賞、そして英国アカデミー賞で受賞するということは、すなわち本作品が伝えたいメッセージが正しく伝わり、評価に値したということです。

アカデミー賞では、歴史的事実や国際情勢を含めた社会的なメッセージが大きく評価される傾向にあります。

昨今では、受賞作品を選ぶ協会員の構成も他人種化されてきているので、単にアメリカだけが支持したということではありません。

昨今のロシアの情勢が話題になっているからこそ、世界中の人々が映画の力を信じて訴えたのです。

まとめ

今回の記事では、ドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』の概要・あらすじを紹介するとともに、主なポイントを絞ってネタバレ解説を行いました。

asa(あさ)

プーチン大統領一強というロシアの情勢があるからこそ、
このような悲劇が起こってしまっています

mii(みー)

日本ではなかなか実感できないようなことだけど、
世界に真実を発信する映画の力はすごい!

中には「映画を政治利用するな!」という批判の声があがることもありますが、私個人としては、こういった作品が評価されるのは非常に大切なことだと思います。

昨今、さまざまなニュースが飛び交い、なんとなく流して見ているようなことでも、詳しく知っていくにつれて事の重大さを知り、学ぶきっかけにもなります。

そのような歴史や国際情勢と、遠く離れた世界で暮らしている私達をつなぐ一つの架け橋として、映画の持つ力を信じ続けていきたいものですね。

過去のアカデミー賞受賞作品でも、社会的なメッセージが強く込められた作品が多く受賞してきています。

アカデミー賞を受賞したおすすめの作品は以下の記事をチェック!

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