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asa(あさ)
映画が大好きな28歳会社員

年間300本程度の映画作品(洋画がほとんど)を鑑賞している映画好きです◎

アカデミー賞で輝く俳優・女優の姿に感動し、アカデミー賞などの映画賞をもとに映画の魅力を発信しています。

【ネタバレ解説】アニメ映画『犬王』実在した男と忘れ去られた平家物語 考察レビュー

アニメ映画『犬王』は観ましたか?

2021年に公開され、劇中のミュージカル場面には大きな話題を呼びましたね!

この記事では、アニメ映画『犬王』の概要・あらすじを紹介するとともに、6つのポイントでネタバレ解説を行っています。

ポイント
  • 時代は室町時代初期/南北朝時代
  • 亡霊を背負った少年・友魚(ともな)
  • 呪われた異形の子・犬王
  • 呪いを断ち切り、自らの存在の証明
  • 歴史から消された
  • 俺たちはここに有る!

※ネタバレを含みますので、ご注意ください。

心が震え、心が躍るような気分になれる素晴らしい作品ですので、まだ観ていない方はぜひチェックしてみてください!

それでは、いってみましょう!

目次

概要

出典:https://inuoh-anime.com/

アニメ映画『犬王』は2021年に公開された日本のアニメ映画です。

室町時代の猿楽(能楽)という伝統芸能の様子を現代風に描いており、かつてないほどの興奮を感じるようなミュージカルアニメに仕上がっています。

監督を務めるのは『マインドゲーム』や『恋は短し歩けよ乙女』を手がけた湯浅政明監督であり、主人公の犬王役を演じるのは女王蜂というバンドでボーカルを務めるアヴちゃんです。

さらに、脚本は『逃げるは恥だが役にたつ』や『アンナチュラル』を手がけた野木亜紀子さんが書き下ろしているなど、超豪華なキャスト・スタッフで臨んだ珠玉の作品であることに間違いありません。

私たちが教科書などで知ることのできなかった存在【犬王】は、果たしてどんな人物だったのか?また、かつてどんな伝説を残しているのか?

歴史の断片を呼び覚ます傑作アニメーションとして、多くの人の心に響く傑作です!

監督湯浅政明
出演アヴちゃん
森山未來
柄本佑
津田健次郎
時間97分
ジャンルアニメ、歴史
制作日本
公開2022年5月28日

予告動画

あらすじ

南北朝に分裂していた室町時代

草薙剣に封じられていた呪いを解放してしまったことで父を亡くし、自身も失明してしまった友魚(ともな)は、父親の恨みを背負って旅に出た後、琵琶法師として覚一座に入門し「友一」と名を改める

一方、猿楽の一座「比叡座」のもとで生まれるも、異形であるため虐げられ瓢箪のお面をつけて生活していた犬王は、自分なりに芸を磨き個性的な舞を行うようになる

2人が出会い、それぞれの芸当が掛け合わさることで、かつてない猿楽が誕生し一世を風靡していく

登場人物

ネタバレ解説にいく前に、本作品の登場人物を紹介します。

基本的には友魚(ともな)と犬王の物語ですが、そのほかのキャラクターも重要であり、声優を務めている方々も豪華ですので、ぜひチェックしてみてください!

友魚(ともな)、友一、友有 CV:森山未來

壇ノ浦の漁村出身の少年

見てはいけない草薙の剣を見てしまったことにより失明してしまう

亡くなった父親の恨みを背負わされ、琵琶法師となり活動する中で犬王と出会い、「友有座」として一世を風靡していく

犬王 CV:アヴちゃん(女王蜂)

猿楽の一座である「比叡座」の棟梁を父親に持ち、その父親の欲望の犠牲となってしまった異形の子

周囲から虐げられて生きてきたが、1人で自分なりの舞を極めていく

自分の姿が見えない友魚と出会うことで意気投合し、今までにない猿楽で多くの人々を魅了していく

足利義満 CV:柄本佑

室町幕府の第3代将軍

南北朝の統一を目指し、手に入れるべきもの何としてでも手に入れ、邪魔となるものは徹底的に排除するために動いている

猿楽などの芸にも精通し、のちの世阿弥となる藤若を寵愛している

犬王の父 CV:津田健次郎

猿楽の一座で有る「比叡座」の棟梁にして、犬王の父親

「比叡座を大きくしたい」という思いから、自身の欲望を得るために家族を犠牲にしてしまう

犬王が成り上がっていく姿を快く思っていない

ネタバレ解説

出典:https://inuoh-anime.com/

アニメ映画『犬王』のネタバレ解説を行います。

主に6つのポイントから解説しており、近本的にはストーリーの流れ通りに進めていきますが、ポイントによっては順不同になることがあります。

ポイント
  • 時代は室町時代初期/南北朝時代
  • 亡霊を背負った少年・友魚(ともな)
  • 呪われた異形の子・犬王
  • 呪いを断ち切り、自らの存在の証明
  • 歴史から消された
  • 俺たちはここに有る!

※ネタバレを含みますので、ご注意ください。

劇中で披露された演目
・「腕塚」:https://youtu.be/b3tP4huFvlE
・「鯨」:https://youtu.be/_1tcR73GydI
・「竜中将」:https://youtu.be/0rNBfHmbmAU

時代は室町時代初期/南北朝時代

本作品は室町時代を舞台に描かれています。

室町幕府の第3代将軍の足利義満が登場していることから、1300年代後半のことだと思われます。

当時は南北朝時代と呼ばれ、足利家が擁立した光明天皇と、もともとの系譜である後醍醐天皇とで内乱状態となっていました。

そのため、「どちらが本当の天皇なのか?」という理由が必要であり、そこで出てくるのが三種の神器です。

三種の神器というのは、歴代天皇が受け継いできた宝物であり、これらを所持していることこそ天皇である証明でした。

こうして受け継いできたものですが、草薙剣については1185年の壇ノ浦の戦いにて平家が滅亡する際に安徳天皇とともに海中に沈められています。

「こっちが本当の天皇だ!!」と主張するために、この無くなった草薙剣を血眼で探しています。

asa(あさ)

ここから本編がスタートします

亡霊を背負った少年・友魚(ともな)

漁村で生活をしていた友魚(ともな)と父のもとに侍が訪ねてきました。

草薙剣が沈められているであろう場所を突き止めたため、一緒に海に出て探そうとお願いにきたのです。

友魚と父は侍たちを連れて海に出て、目印の場所で海底を探すと、草薙剣が見つかりました。

船の上で父親が草薙剣を鞘から取り出すと、眩い閃光とともに父親の体は真っ二つになり、友魚は失明してしまいます。

mii(みー)

三種の神器は神聖なのものであるため、簡単に見てはいけないものなんだよね・・・

asa(あさ)

そう!その天罰が下ったというわけだね!

亡くなった父は亡霊として友魚の前に現れ、この恨みを友魚に託します。

友奈は旅をする中で、谷一という琵琶法師と出会い、友魚も琵琶法師となりました。

そして、覚一座(のちの当道座)に入門し、名を友一に改めますが、父の亡霊は「名前を変えたらお前を見つけられない、壇ノ浦の友魚として無念を晴らせ!」と言われますが、友魚は友一として生きていきます。

本作品においても、この時代においても、名前というのはとても大切なものとして位置付けられています。

呪われた異形の子・犬王

友魚が目を失い、琵琶法師として活動をする裏では、犬王の物語が描かれます。

犬王がまだ名もなき頃、猿楽の一座「比叡座」のもとに生まれましたが、異形の子であったため瓢箪のお面をつけて生活をしていました。

父親は比叡座の棟梁でありますが、醜い息子を受け入れることができず、犬王は虐げられていました。

犬王は受け入れられないものの、比叡座の稽古を見よう見まねで真似をして、ぐんぐん吸収していきます。

もともとは足もありませんでしたが、ある日足が生えて町を走り回り、人々を脅かしていました。

人々に注目してもらうことが嬉しく、イタズラを続けていた犬王の前に友一が現れます。

「どけー!」と犬王は言いますが、友一は目が見えないため、犬王の姿がわかりません。

「お前は驚かないのか?」と聞くも、「姿が見えないから」と友一は言うのです。

犬王は友一の持っている琵琶に興味を持ち、友一が琵琶を演奏すると、犬王は踊り出します。

これまで虐げられてきた犬王にとって、初めて自分の存在を対等に扱い、認識してくれたのが友一だったわけです。

呪いを断ち切り、自らの存在の証明①

ある日、犬王は気付きます。

自身の芸が磨かれていく旅に、身体の一部が治っていっていました。

その理由を考えていると、友一が「それは亡霊の仕業ではないのか?」と言い、父の亡霊を呼び出します。

すっかり小さくなった父の亡霊が現れ、「平家の亡霊が山ほど憑いている」と言い、成仏していきました。

asa(あさ)

ちなみに母も亡くなり、すぐに成仏したそうですね

犬王が耳を澄ますと、平家の亡霊の声が聞こえ、亡き平家の声を拾って世の中の人々に向けて語ることを決意します。

友一自身もこれまでとは違い、犬王の物語を弾くと言い、覚一座を抜けました。

mii(みー)

ここから圧巻のライブがスタートだね!

これまでにない2人のそれぞれのパフォーマンスは、瞬く間に人気を博していきます。

犬王の身体はどんどん治っていき、残るは顔だけとなりました。

犬王に憑いている亡霊は呪っているのではなく、誰かに知って欲しいだけであり、それを語り継いでいくことこそが弔いになるのです。

そうして、亡霊も含めて「2人の存在もここに有る!」ということで、友一は「友有」と名を改めます。

自らの存在を知らしめることで亡霊は成仏し、犬王の身体は治っていく、そして友有も名前から解放されていっています。

asa(あさ)

自らの力で打ち破っていく姿には心が震えますね!

呪いを断ち切り、自らの存在の証明②

友有と犬王は「友有座」と名乗り、勢いのままどんどん拡大していきます。

その噂を聞きつけたのが将軍・足利義満です。

足利義満は南北朝の統一のために、余計な勢力が出てくることを恐れていました。

mii(みー)

目立つ存在が邪魔だったんだね!

芸事にも精通していた義満は、犬王と友有に自身の屋敷で演目を披露するようにお達しを出します。

しかし、犬王にお面を取り素顔で行うことを条件として突きつけました。

犬王は条件を受け入れ、2人は拳を合わせてステージに立ちます。

順調に演目を行いますが、なかなか平家の亡霊が成仏しません。

友有は「まだ拾えていない話があるのではないか?」と疑問を抱き、ここで犬王の出生の謎が語られます。

比叡座の棟梁であった犬王の父は、プレッシャーに苛まれていました。
自身の芸を磨き、比叡座をもっと拡大させようと思うものの、なかなかうまくいきません。
そして、ついに悪魔のお面に手を出してしまいます。
そのお面は「芸の力を与える代わりに、胎内の子どもを差し出せ」と要求しました。
父は悩むことなく自身の子どもを差し出し、力を手に入れるのです。
そうして呪われた犬王が異形として生まれました。

この物語を拾うことで犬王の呪いは解け、青年としての顔を取り戻しました。

ここで、犬王が父親の欲望の犠牲になったことが明らかになります。
父親は、犬王の顔が治ると同時にお面の呪いに殺されてしまいました。

歴史から消えた

このままさらに大きくなっていくのか、と思いきやここから2人の運命は別れていきます。

足利家によって平家物語の内容が整えられ、定本以外の平家物語を語ってはならない、と決められてしまいました。

そして友有座のもとに警告が届き、追い込まれていきます。

一方の犬王は義満に寵愛されますが、「お前の語る平家物語は逸脱しているから、もうするな。逆らえば友有の首が川に転がると思え」と脅されてしまい、友有を守るために犬王は忠誠を誓いました。

そして、それでも演奏をやめなかった友有は、首を切られ処刑されてしまいます。

最後、処刑される寸前、友有は「私は壇ノ浦の友魚だ!」と叫んでいました。

asa(あさ)

恨みを背負った名前の象徴である「友魚」に戻ってしまったわけです

残された犬王に以前のような輝きはなく、無表情で舞っていました。

こうして、犬王の名は後世に語り継がれることはなく、現代の私たちも知ることができないのですね。
誰かにとって都合の良いものだけ残り、都合の悪いものはなかったことにされてしまう、これが歴史の構造なのかもしれません。

俺たちはここに有る!

そして物語は終わるかに見えましたが、ここで現代に戻ります。

友魚は600年間亡霊として残り続け、琵琶を弾きながら、ずっとずっと語っていました。

mii(みー)

相当強い怨念だね

asa(あさ)

犬王が語った平家物語と同じで、誰にも語り継がれなかったことでずっと成仏できなかったのですね

そんな暗闇の中で誰かの声が聞こえます。

そう、犬王です。

犬王は600年間友魚を探し続けていました。

そして、やっと見つけた犬王は「お前、友魚になってたのか!?名前を変えたら探せないだろ!」と言います。

犬王は、再び「友有」の名前を呼び、2人は出会った当初の姿に戻りました。

友有は琵琶を弾き、犬王が合わせて踊ります。

「いいなあ!?」「とうぜん!」「楽しいなあ!?」「とうぜん!」と掛け合い、名前を呼び合いながら成仏していきました。

ここで、名前が自分自身の証明である、という序盤の父親とのやりとりが回収されます。

そして、2人が600年成仏できずにいた理由も、友有は「犬王の話を語れず消された」、犬王は「友有を探していた」というお互いの友情によるものでした。

各レビューサイトでの評価

本作品の世間の反応や評価について紹介します。

それぞれ点数と主なレビューを3件ずつ紹介していますので、気になる方はぜひリンク先をチェックしてみてください!

Filmarksの使い方については以下の記事を参考になります。

Filmarks

3.8/5

・作画が綺麗で、斬新な音楽に終始圧倒された

・アヴちゃんの圧巻の表現力!

・ミュージカルの迫力ももちろんだが、物語としても素晴らしい

・600年にわたる友情に涙が出た

・ミュージカルの場面が長くて、しんどく感じた

Filmarks:『犬王』映画情報・感想・評価ページ(https://filmarks.com/movies/84764

IMDb

7.2/10

・ 変革的で革新的で創造的であり、これまでに観たことがない作品

・2人の悲劇的で高揚感のあるストーリーには興奮させられた

・キャラクターデザインは素晴らしく、2人の友情に胸が温まる

IMDb 『Inu-oh』(https://www.imdb.com/title/tt10540510/

Rotten Tomatoes

91%

・サイケデリックで壮大なロックオペラになっていた

・14世紀の能と70年代ロックの融合!

・釘付けになる、束縛されない狂気の作品

Rotten Tomates 『INU-OH』 (https://www.rottentomatoes.com/m/inu_oh

まとめ

この記事では、アニメ映画『犬王』の概要・あらすじを紹介するとともに、6つのポインでネタバレ解説を行いました。

まとめ
  • 南北朝を統一するために三種の神器の一つ「草薙剣」を探していた
  • 友魚は失明し、父の恨みを晴らすための旅先で琵琶法師となった
  • 犬王は異形の子として虐げられていたが、自らの存在を認めてくれる友一と出会った
  • 忘れ去られ、虐げられてきた者たちが世間に知られ、存在を証明した
  • 幕府に弾圧され、犬王は歴史に残らなかった
  • 600年間亡霊として残っていた2人は再び出会い、成仏していった

みなさんはどう思いましたか?

ここからは私の妄想ですが、最後に成仏する瞬間、友有の目が見えていたのではないかと思います。

それまでは瞳に色はついていませんでしたが、最後は瞳に色がついていました。

友有が何を見たのか?そしてどう思ったのか?

考えが広がりますね!

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