映画『AIR/エア』は観ましたか?
ナイキの社員が主人公となり、大人気バスケットシューズシリーズの「エア ジョーダン」が生まれた瞬間を描いた感動の実話作品です。
ベン・アフレックとマット・デイモンのタッグが再び集結した本作品は、非常に高い注目を集めました。
この記事では、映画『AIR/エア』の概要・あらすじを紹介するとともに、以下のポイントでネタバレ解説を行なっています。
- バスケット部門で苦戦するナイキ
- 狙いはデビュー前のマイケル・ジョーダン
- ソニーの社員生命を賭けた作戦
- 靴は、誰かが履いた時に意味を持つ
- そして、伝説へ
※ネタバレを含みますので、あらかじめご注意ください。
それでは、いってみましょう!
概要

映画『AIR/エア』は2023年に公開されたアメリカのドラマ映画です。
誰もが知っている大人気バスケットシューズシリーズである「エア ジョーダン」誕生の瞬間が描かれています。
映画『アルゴ』で監督・主演を務めたベン・アフレックが監督となり、主演は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』や『オデッセイ』に出演しているマット・デイモンです。
かつて『グッド・ウィル・ハンティング』でコンビを組んだ2人が再び集結し、スポーツ業界の歴史に残る瞬間に立ち会う男たちを描きました。
ナイキの社運をかけた男たちの感動の実話に大きな話題が集まっています。
監督 | ベン・アフレック |
出演 | マット・デイモン ベン・アフレック ジェイソン・ベイトマン ヴィオラ・ディヴィス |
時間 | 112分 |
ジャンル | ドラマ |
制作 | アメリカ |
公開 | 2023年4月7日 |
予告動画
あらすじ
1984年アメリカ
ナイキはバスケットシューズの市場において、コンバース・アディダスに次いで3番目のシェア率となっていた
バスケットシューズ部門を立て直すためにソニーが目をつけたのは、まだNBAでデビューをしていないマイケル・ジョーダン
ナイキと契約するつもりのないジョーダンに対して、ソニーはナイキの社運を賭けた戦略を打ち出す
それは、マイケル・ジョーダンをモデルにしたシューズを制作することであった
ネタバレ解説
ここからは、映画『AIR/エア』のネタバレ解説を行います。
主に5つのポイントで解説しており、基本的にはストーリーの流れの順番になっていますので、一つずつチェックしてみてください!
- バスケット部門で苦戦するナイキ
- 狙いはデビュー前のマイケル・ジョーダン
- ソニーの社員生命を賭けた作戦
- 靴は、誰かが履いた時に意味を持つ
- そして、伝説へ
※ネタバレを含みますので、あらかじめご注意ください。
バスケット部門で苦戦するナイキ
1984年アメリカ
主人公のソニーは、ナイキのバスケット部門で新しく契約する選手のスカウトを行っていました。
ナイキはバスケットシューズにおいて、シェア率はコンバース、アディダスに次いでわずか17%と大苦戦しています。
ランニングシューズで人気を博していたナイキですが、バスケの時にしか履けないバスケットシューズではなかなかシェアは伸ばせません。
苦境に立たされたバスケット部門の社員は、新たな契約選手を見つけるべく、予算25万ドルで新人選手から3名を選出する会議を行なっていました。
しかし、予算がわずか25万ドルで3名の選手を選ぶというのは難しく、なかなかいい選手の目星がつけれません。
追い打ちをかけるように、旧友でありCEOを務めるフィルにバスケット部門の現状の厳しさについて釘を刺され、このままではソニーの立場が危うくなることも示唆されます。
ソニーは予算が25万ドルしかないことに対して不満をぶつけ、50万ドル必要だ!とフィルに告げて部屋を後にしました。
自社のバスケットシューズを着用してもらう契約を結ぶことで、テレビなどを通して大きなPRとなります。
現在、トップの選手の契約金は約7億ドルです。
これからスターになるであろう選手をあらかじめ声をかけ、活躍すると同時に売り上げを伸ばしていくことを目標にしています。
そういった意味では、ある意味「博打」でもあるわけです。
狙いはデビュー前のマイケル・ジョーダン
ソニーは選手を発掘するべく、プレー動画のビデオを見ていたところ、ある選手のプレーに目が惹かれます。
そう、マイケル・ジョーダンです。
彼が新人であるにも関わらずチームの中心のような存在となっており、スター選手になれるポテンシャルを持っていることを感じ取りました。
ソニーは、翌日「契約はマイケル・ジョーダンのただ1人でいい」と周囲の仲間に告げ、予算も全てジョーダンに費やすつもりでいることも明かしました。
ジョーダンがすでにナイキからのオファーは断っていることもあり、もちろん周囲は大反対です。
それでもソニーは聞く耳を持ちません。
猪突猛進でジョーダンと契約をとる方向で話を進めていき、さっそくジョーダンの代理人のフォークに電話をしますが、もちろん門前払いです。
意思決定を行うCEOのフィルからも「ただのギャンブルだ」と一蹴されてしまいまいた。
ソニーは、「ジョーダンは唯一無二の選手だ」と訴え、リスクも承知だが大きな勇気も必要だと言います。
その熱意がおさまらないソニーは、オリンピックでコーチを務めていて元選手のジョージ・ラベリングに会い、アドバイスを受けます。
ジョージ・ラベリングは自身が過去にキング牧師の演説を聞いた経験から、自分の心の声に従って行動することが大切だと説きました。
やる前から100%成功することが約束されているビジネスは決して多くないでしょう。
どこまで投資するのか、これは経営する上で一生ついていくジレンマなのかもしれませんが、ソニーのように時には大胆な賭けを行う姿勢を見せなければなりません。
それこそがジョージ・ラベリングの言う「心の声に従う」ことなのかもしれないですね。
ソニーの社員生命を賭けた作戦
ソニーの熱意はどんどん周囲にも影響を与えていき、ナイキ全体でジョーダンとの契約を勝ち取る方向に動いていきます。
ソニーはアポ無しでジョーダンの実家に訪問し、母親のデロリスと話すことに成功しました。
もちろんデロリスは取り合う気もなく、早く追い返すために話を進めていくのですが、ソニーはそこであることを告げます。
コンバースは、ブルズのカラーである赤色のネクタイをつけて取り繕うけれど、ジョーダンの具体的な素晴らしさについては語らないだろう。
アディダスは、経営者がいなくなったことにより混乱している。決定権を尋ねてもしっかり答えることはできない。そしてそれが後々契約に悪影響を及ぼす。
ソニーは「もし、2社と話したときに同様のことが起こったら、ナイキの話も聞いてください」と言い、さらに、「私がここまで会いに来たのは、それだけジョーダンが特別な選手であり、それをお母さんはわかっているから」と告げてその場を後にしました。

このシーンもすごく印象に残りましたね!
代理人に激怒されるも、「ここまで来たら契約を取れ」と許可をもらい、ついにジョーダンとの契約をかけて本格的に動き出します。
ソニーは、シューズのデザイン・制作を担当しているピーターの元に行き、ジョーダンに合わせたシューズの制作を頼みました。
個人を表現し、大衆に販売できて、そして人類市場最も素晴らしいシューズ、という注文に加えて、今までにないものを求めました。
熱意を持って相手に伝えれば伝わる、ということがしばしばありますが、ソニーが持っていたのは熱意だけではありませんでした。
なぜ、ジョーダンなのか?なぜ、ナイキなのか?と理にかなった説明には、これまでの経験と自身の目で見たジョーダンの可能性という裏付けがあったからです。
ジョーダンに合わせた今までにないシューズを制作する、というのは、まさに「ジョーダンと心中する」ということですね。
靴は、誰かが履いた時に意味を持つ
ジョーダン一家は、コンバースとアディダスに話を聞きに行きましたが、どちらもソニーの言った通りとなっていました。
そうしてナイキはジョーダン一家にプレゼンする機会を得ることに成功しました。
一方、ジョーダンに合わせたシューズは着実に出来上がっており、バスケットシューズの規定に反して罰金を払ってでも目立つ見た目にしようと出来上がったのが「エア ジョーダン」です。
そして迎えるプレゼン当日、ジョーダン一家に向けて事前に準備していた内容で進めますが、ソニーは突如プレゼン動画を止め、話し始めました。
ここからは君の未来の話をしよう。
君はすぐにスターとなり、ファンやメディアから持て囃されるだろう。
しかし、頂点を味わった者は、必ずいつか引き摺り下ろされる。
君はずっと自分を演じ続けなくてはならなくなる。
攻撃されることも、裏切られることも、破滅を導いてしまうこともある。
そんな時に君は自分を奮い立たせることはできるか?
君は誰だ?それが君の人生を決める質問だ。
靴はただの靴だが、誰かが履いた時に意味を持つ。
それが君だ。
自分のためにではなく、人々のために履いてほしい。
人は誰しもいつかは忘れられるが、君は永遠に忘れられない。
君は僕たちに飛び立つ力を与えてくれる。
事前の予定になく、台本さえも用意していいないこの言葉をソニーはジョーダンに伝えました。



この言葉と同時に、実際のジョーダンの映像が流れているところにも感動しまいたね。
ジョージ・ラベリングが言っていた、心の声に従ったソニーの渾身のメッセージは、ジョーダンの心を強く動かし、後日契約を結ぶ旨の連絡をいただくのでした。
誰かに大切なことを伝える時、それは事前に準備したものではなく、自然と湧き出ることこそが本音であり、本当に伝えたいことのはずです。
社運のかかった大事な場で、流れを無視して自身の湧き出る言葉に身を任せたソニーは、まさに生粋のギャンブラーであり、社運を背負った賭けでもあったのでしょう。
そして、伝説へ
見事契約を結べたかと思いきや、デロリスはソニーにある条件を付け加えることを提言します。
それは、「エア ジョーダンの収益の一部をジョーダンに支払う」というものでした。
前例のないことで、とても受け入れられる要求ではありませんでしたが、「ごく稀に現れる特別な選手は、自分の勝ちに見合った要求をする」とデロリスは言います。



これもデロリスなりの賭けであり、覚悟ですね
ソニーは、さすがに無理だと思いフィルに話すと、フィルは条件を受け入れ、契約を締結することを話します。
フィルの立場を心配するソニーでしたが、「お前が信じた選手だ」と会社員を信じる経営者としての姿勢を見せました。
ソニーがフロアにいる社員に向けて、ジョーダンと契約ができたことを告げると社内は歓喜に包まれました。
この社運を賭けた一連の動きには、たくさんの社員の支えがあり、その全員が覚悟を決めたからこそできたことです。
ジョーダンにプレゼンする前、上司であるロブはソニーにある話をしました。
「自分は父親であり、ナイキの社員であることが娘に唯一誇れることなんだ。もしこの賭けが失敗して自分がナイキを辞めなくてはならなくなった時、自分はナイキの靴は買うが、父親としての誇りを失う。どんなことにもリスクはあるが、お前の行動は全員を巻き込んでいることを忘れるなよ」
ソニーは謝りますが、ロブは「それでもやるんだから絶対成功させよう」と覚悟を決めました。
フィルやロブなど、ソニーの賭けに参加させられた立場でありますが、彼ら無しでは決して成し得なかったことです。



ナイキの社員は全員魅力的でしたね!
こうして発売した「エア ジョーダン」は初年度に1億6200万ドルを売り上げ、ジョーダンは大スターとなっていました。
現在、「エア ジョーダン」は年間40億ドルを売り上げています。
全員の覚悟があったからこそ成し得たことであり、それこそがビジネスの真髄なのではないかと思います。
ソニー1人が動いても、決定権を持つ上司や経営陣を納得させられなければ無理です。
その中でソニーの覚悟と熱意が伝わったことで、全員が同様に覚悟を持てたのでしょう。
2022年、NBAの選手が着用しているバスケットシューズにおいて、ナイキは約70%を誇っており、圧倒的な存在となっています。
各レビューサイトでの評価


本作品の世間の反応や評価について紹介します。
それぞれ点数と主なレビューを3件ずつ紹介していますので、気になる方はぜひリンク先をチェックしてみてください!
Filmarksの使い方については以下の記事を参考になります。


Filmarks
・相手の心に届く言葉は本当に感動する
・言葉の力と行動力が大きな結果をもたらす
・ベン・アフレックとマット・デイモンのやり取り最高!!
Filmarks:『AIR/エア』映画情報・感想・評価ページ(https://filmarks.com/movies/108330)
IMDb
・難しいテーマの作品を見事に描写していた!
・結末がわかっていてもワクワクしてしまう!
・感情的なスピーチは常に人々の心を大きく動かす
IMDb 『Air』(https://www.imdb.com/title/tt16419074/)
Rotten Tomatoes
・力強い演出とストーリーに、80年代に連れて行ってもらえた気分だった
・大企業にも関わらず抱えている課題に立ち向かう姿に感動した
・スポーツとビジネスの両面を押さえていて、非常に魅力的だった!
Rotten Tomates 『Air』 (https://www.rottentomatoes.com/m/air_2023)
あの名コンビが復活!!
本作品に関して、映画の内容はもちろんですが、映画ファンにとって非常に心待ちにしていたことはご存知ですか?
このパートでは、本作品で監督を務めたベン・アフレックと主演を務めたマット・デイモンの関係について解説していきます。
在学中に書き上げたアカデミー賞受賞作品


ベン・アフレックとマット・デイモンは、どちらも映画界のスターですが、この2人のタッグは非常に有名です。
映画デビューをする前から2人は親友の関係であり、マット・デイモンがハーバード大学に在学中に執筆した脚本をベン・アフレックに見せたことから2人の物語は始まっています。
そう、その作品こそアカデミー賞で7部門にノミネートされ、脚本賞と助演男優賞を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』です。
衝撃のデビューを飾った本作品で2人は一気にスターダムにのしあがり、その後も映画界で人気を博しました。
このエピソードも非常に有名なので、本作品で久しぶりに2人がタッグを組むことを知って歓喜した人も多いでしょう。
まとめ
この記事では、映画『AIR/エア』の概要・あらすじを紹介するとともに、5つのポイントからネタバレ解説を行いました。
- ナイキはバスケットシューズ部門でシェア率は17%と大苦戦していた
- 周囲に反対されながらも、マイケル・ジョーダンと契約をするという大きな賭けに出た
- まるでジョーダンと心中するかのように、ジョーダンに合わせた今までにないシューズを製作した
- ソニーは自身の中で湧き出る言葉をありのまま伝えたことで、見事契約を勝ち取れた
- 伝説となった「エア ジョーダン」の裏には、社員全員の覚悟が存在していた
エピソード自体ももちろん感動的ですが、ソニーの周りの人物の支えにも感動しますよね。
1人では全てのことはできないけど、1人で周りの人を変えることはできる、という人生における大切な教訓を愛亜ベタような気分になりました。
大きな決断をする時、どこにも保険のない状態だからこそ強い力を発揮するのでしょうね。
久しぶりに画面上にベン・アフレックとマット・デイモンが並んでいるだけでも映画ファンとしては歓喜なのですが、本編を通してソニーとフィルの間にあった絆にも心が動かされましたね!