映画『グリーンブック』は見ましたか?
2019年アカデミー賞作品賞を受賞した作品で、人種差別に抗った二人の友情を描いた心温まる作品です。
主演のヴィゴ・モーテンセンの愛くるしいキャラクターと、マハーシャラ・アリの厳格でありながら人情味のあるキャラクターのどちらもとても魅力的で、笑いあり・涙ありの内容になっています。
今回の記事では、映画『グリーンブック』の概要・あらすじを紹介するとともに、主に4つのポイントで解説をしています。
- 1960年代アメリカの人種差別
- 私は「何者」なのか
- 自分を変える1番の方法 -「相手を知ること」と「相手を信じること」
- 実話を元にした友情
※ネタバレを含みますので、ご注意ください。
本作品を見たことのある人も、そうでない人も作品をより深く知るきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
また、当時のアカデミー賞についても解説しているので、そちらもチェックしてみてくださいね!
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概要

2019年アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞した作品です。
実話を元にしており、1960年代のアメリカで実際に見られた黒人に対する人種差別をテーマにした本作品の中で描かれる友情に多くの人の感動を呼びました。
自由奔放なドライバーのトニーを演じるのは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『はじまりへの旅』に出演しているヴィゴ・モーテンセン、天才ピアニストのドクを演じるのは、『ムーンライト』などに出演しているマハーシャラ・アリです。
監督 | ピーター・ファレリー |
出演 | ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ リンダ・カーデリーニ ドン・スターク |
時間 | 130分 |
ジャンル | コメディ/ドラマ |
制作 | アメリカ |
予告動画
あらすじ
1962年のアメリカ
用心棒として勤めていたナイトクラブが改装工事になったため、トニーは新たな仕事を探すことを余儀なくされる
知人の紹介で、黒人ピアニストのドクター・シャーリーが行うアメリカ南部ツアーの運転手を行うことになり、二人の旅がスタートした
自由奔放なトニーと規律を重んじるドク、という性格が真逆な二人は衝突を繰り返すが、徐々に友情が芽生えていく
しかし、二人に待ち受けていたのは、人種差別という名の大きすぎる壁であった

登場人物/キャスト
本編の内容に触れる前に、本作品の登場人物を紹介します。
基本的には2人の物語のため、主要な党人物はあまり多くありません。
また、演じた2人の俳優についても少し解説していますので、ぜひチェックしてみてください!
トニー・“リップ”・バレロンガ/ヴィゴ・モーテンセン

本作品の主人公
イタリア系アメリカ人であり、2人の子どもを抱えるパパ親
妻のドロレスのことを愛しており、その愛くるしい性格から周囲の仲間たちからも愛されていた
ニューヨークのナイトクラブで用心棒をしており、自由奔放で少々気が荒い
演じているのは、『ロード・オブ・ザ・リング』でアラゴルン役を演じ、一躍スターに輝いたヴィゴ・モーテンセン
1980年代から俳優としてのキャリアをスタートし、数々の名作に出演しているヴィゴ・モーテンセンは、アカデミー賞においても主演男優賞に複数回ノミネートされている
ドクター・ドナルド・シャーリー/マハーシャラ・アリ

トニーの相棒のドクター・ドナルド・シャーリー、通称「ドク」
ピアニストであり、世界的にも有名なカーネギーホールの上に住んでいる
人前に出る職業だからか、規律を重んじる性格であり、トニーの行動に数多く驚かされている
アメリカ南部ツアーの運転手を探しているところにトニーと出会い、ツアーをスタートさせた
演じているのは、『ムーンライト』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ
2000年代後半から俳優としてのキャリアをスタートし、先述した『ムーンライト』で人気を博し、その後も本作品を含めて多くの名作に出演している
レビュー・解説(ネタバレあり)
それでは、本作品のレビュー・解説にいきましょう!
改めて本作品のポイントは以下のとおりです。
- 1960年代アメリカの人種差別
- 私は「何者」なのか
- 自分を変える1番の方法 -「相手を知ること」と「相手を信じること」
- 実話を元にした友情
それぞれ詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
※ここからはネタバレを含みます。あらかじめご注意ください。
1960年代アメリカの人種差別

黒人の人種差別問題は簡単に語ることのできない話題です。
その歴史は非常に根深く、何百年と続いてきました。
本作品では1962年のアメリカを舞台にしておりますが、アメリカでは1950年〜1960年代に公民権運動が始まりました。
公民権運動とは?
アフリカ系アメリカ人により、1950年代なかばから1960年代なかばにアメリカで展開された、差別の撤廃と法の下の平等、市民としての自由と権利を求める社会運動。
引用元:コトバンク(https://kotobank.jp/word/%E5%85%AC%E6%B0%91%E6%A8%A9%E9%81%8B%E5%8B%95-158227)
1863年の奴隷解放宣言が行われてもなお、一向に差別がなくならない現状が続いていた中で、立て続けに人種差別事件が起こり、かの有名なキング牧師が主導となって行われた運動です。
公民権運動のこともあり、少しずつ黒人に対しての認識が傾きつつありましたが、まだその黎明期であった1962年は、黒人に対する差別は日常的に起こっていました。
特にアメリカの南部地方では、その差別は色濃く見られ、ホテルやレストラン、トイレ、乗り物など、黒人は「黒人専用」を使用しなければなりませんでした。
時代が進むにつれて、この差別はなくなりつつあり、現代では差別が見られると世界中から非難を浴び、場合によっては捕まるケースもあります。
しかしながら、2020年5月、白人警察官が黒人男性を拘束する際、過剰な振る舞いで死なせてしまったことで大問題となり世界中で話題となりました。
決してなくなることのない差別問題ですが、本作品が描く1962年においては、世論が傾きつつあれども、今では考えられないような差別が頻発していた時代になります。
私は「何者」なのか

「ピアノを演奏して拍手喝采を受けても、ステージを降りると独りぼっちの黒人なんだ」
ドクは雨の中、トニーに向かってこう叫びます。
トニーは、ドクに対して「あんたのほうが贅沢で恵まれている!俺の方が黒人だ!」と言ってしまい、それに対しての言葉でした。
白人社会の中で自らを証明するためにピアノを弾き、拍手喝采を浴びる。
行く先々のホールではVIPとして出迎えられるが、控室は狭い倉庫、レストランは入店禁止になってしまう。
周りが欲しているのは彼のピアノであり、人としては必要とされていないのです。
トニーから見たら確かに贅沢に映ったのかもしれませんね。
世界中から名声を集め、豪華な家に住んでおり、何不自由ない生活に見えても仕方ありません。
しかし、それは黒人の自分がなんとかして生き抜いていくための生命線です。
ピアノという命綱でなんとか繋がっている状態です。
私たちは人が持っているものに注目をしてしまう生き物です。
いわゆるステータスと言われる社会的地位や身分などです。
どんな立場、どんな身分、どんな外見、どんな環境でも、その全てがその人自身であり、その人の全てを愛することができるような、そんな世界が必要なのかもしれません。
自分を変える1番の方法 -「相手を知ること」と「相手を信じること」

二人の性格は全くの正反対です。
育った環境も異なれば、当然たどってきた道のりも異なるので、合うはずがないんですよね。
とにかく自由奔放で、運転しながらフライドチキンを頬張ったり、車を止めて道の端で小便をしたり、、、とやりたい放題です。
そんな姿にドクは、叱り続け、ついには呆れ返っていました。
一方、トニーは最初は黒人への差別意識をしっかり持っており、そのような描写もあります。
厳格なドクに対しては「なんだ、こいつめんどくさいな」と嫌悪感を抱いております。
どちらかが積極的に歩み寄ろうとした、というよりは、最初は「だめだ、全然合わない」と諦めてしまっている状態です。
では、なぜ二人の友情は生まれたのか?
それは「相手を知ること」と「相手の言うことを信じてみること」です。
本作品では
・無理やり勧められた食べたことのないフライドチキンは、実はすごく美味しかった
・口うるさく指導されて書いた手紙は、妻にすごく喜んでもらえた
・当たり前だと思っていた生活は、黒人にとっては全く当たり前ではなかった
といったシーンで見られますね。
親交を深めれば、次第と相手のことを理解できますが、「理解しようと努力すること」とはまた別の話です。
相手のことを知っていく上で、自身の考えを改め、「もっと知りたい」「もっと理解したい」と歩み寄る。
こうして人との間に心は生まれていくのです。
旅を終えた後、差別発言をした身内をトニーは注意していました。
とても心温まるシーンでしたね。
実話を元にした友情

本作品は実話をもとにした作品であり、トニーとドクは実在の人物であり、二人へのインタビューに加えて、実際にトニーの家族も制作に携わっており、息子のニックは脚本を務めています。
エンドロールで解説もありますが、この二人は生涯友人として親交を深め、亡くなる時期もほぼ同時でした。
思わぬタイミングで、思わぬ人と友人になる、というのはとても素敵なことで、私たちもこれからの人生どんな出会いがあるかわかりません。
「出会いを大切に」
ありふれた言葉かもしれませんが、改めてその大切さを感じさせる一作になっていますね。
タイトルにもなっている『グリーンブック』は、実際の旅行ガイドブックとして流通していたものであり、黒人が旅行する際のバイブルでもありました。
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各レビューサイトでの評価

本作品の世間の反応について紹介します。
それぞれ点数と主なレビューを3件ずつ紹介していますので、気になる方はぜひリンク先をチェックしてみてください!
Filmarksの使い方については以下の記事を参考になります。
Filmarks
・2人の関係性に感極まる。実話作品の醍醐味を感じた
・人種を超えた1人の人間として理解し合っていく過程がとても良かった
・本当に心が温まる作品。涙なしでは見れない
Filmarks:『グリーンブック』映画情報・感想・評価ページ(https://filmarks.com/movies/80582)
IMDb
・他の作品を凌駕する繊細さがある作品
・このペアの演技は凄まじい!賞を量産するのも不思議じゃない
・自分が観に行った映画館ではスタンディングオベーションが起こった
IMDb 『Green Book』(https://www.imdb.com/title/tt6966692/)
Rotten Tomatoes
・素晴らしい以外の言葉が見当たらない
・決して説教的な内容ではなく、2人の人間の尊さが私たちに教えてくれている
・白人として、本作品で描かれる人種差別に情けない気持ちになった
Rotten Tomates 『Green Book』 (https://www.rottentomatoes.com/m/green_book)

2019年アカデミー賞3部門受賞!

本作品は2019年第91回アカデミー賞において、作品賞を含む3部門を受賞しました!
- 作品賞
- 脚本賞
- 助演男優賞
惜しくも受賞とはならなかったものの、他にも主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)と編集賞もノミネートされています。
本作品に集まるアカデミー賞だけではなく、ゴールデングローブ賞やトロント国際映画祭、ナショナル・ボード・オブ・レビューでも最高賞を受賞しました。
2019年のアカデミー賞作品賞は混戦
2019年のアカデミー賞作品賞はあらゆる点で注目を集め、受賞予想などは極めて困難となっていました。
- グリーンブック
- ボヘミアン・ラプソディ
- ブラックパンサー
- ROMA/ローマ
- アリー/スター誕生
- ブラック・クランズマン
- バイス
『ボヘミアン・ラプソディ』は、伝説のバンド「クイーン」のボーカルであったフレディ・マーキュリーに焦点をあてた伝記映画であり、日本でも大盛況となった作品です。
2019年の大本命と言われており、結果としては作品賞を逃したものの主演男優賞を含む4部門を受賞しました。
また、『グリーンブック』と同様に、黒人への人種差別を描いた『ブラック・クランズマン』も非常に注目を集め、脚色賞を受賞しました。
他には、スーパーヒーロー映画で初めて作品賞にノミネートされた『ブラック・パンサー』やNetflixオリジナル作品で初めて作品賞にノミネートされた『ROMA /ローマ』など、初めて尽くしの作品賞になりました。
これらの作品はゴールデングローブ賞をはじめとした前哨戦で軒並み良い成績を残していたので、どの作品が受賞してもおかしくない、という状況の中で見事『グリーンブック』が受賞しています。
マハーシャラ・アリは黒人史上初の快挙
2015年、2016年のアカデミー賞では、ノミネートされた俳優・女優が皆白人だったことから、「白人だらけのアカデミー賞」と揶揄され、「#OscarsSoWhite」という抗議のハッシュタグが拡散されていました。
そのような混乱の中で、作品賞を受賞した作品で助演男優賞を受賞し、作品への評価と自身の演技への評価を一挙に集めました。
2019年のアカデミー賞ではマハーシャラ・アリが受賞した際、主演のヴィゴ・モーテンセンは熱く抱擁し、壇上に送り出しました。
壇上のスピーチでは「相棒のヴィゴに感謝する」と述べ、役を超えた友情を感じられる瞬間になっていましたね!
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まとめ
今回は、映画『グリーンブック』について、レビュー、考察しました。
- 1960年代のアメリカは人種差別が起こっていた
- 二人の相性は最悪で、たびたび衝突していた
- ドクは、人種や肩書ではなく、自分自身を見てほしいと訴えた
- 相手を知り、信じることで友情が生まれた
- 実話をもとにした物語
映画、特にアカデミー賞受賞作品において、しばしば人種差別のテーマで制作された作品を目にします。
映画の持つメッセージ、エネルギーが、この悪しき歴史を風化させず、現代でも訴え続けています。
トニーのように、実際に関わることで考えを改めることができる人が増えていく世界になり、現代のように改められてきたのだと思います。
個人的には大好きな映画で、人種差別のメッセージをなくしても、二人の友情はとても素敵に描かれていました。
こんな友人が持てる生涯を送りたいものですね。
