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asa(あさ)
映画が大好きな28歳会社員

年間300本程度の映画作品(洋画がほとんど)を鑑賞している映画好きです◎

アカデミー賞で輝く俳優・女優の姿に感動し、アカデミー賞などの映画賞をもとに映画の魅力を発信しています。

映画『生きる LIVING』が日本の名作を甦らせる!見る前に知っておきたい黒澤明の『生きる』とは?

日本が誇る名作映画が、70年ぶりに海外で蘇ります。

約70年前に日本で公開された黒澤明監督の映画『生きる』という作品が、イギリスでリメイクされ、世界で大きな注目を集めています。

そのリメイク作品の映画『生きる LIVING』は、ビル・ナイ主演、オリヴァー・ハーマヌス監督、カズオ・イシグロ氏脚本の作品で、2023年のアカデミー賞でも候補になっているほどです。

映画が好きな人や、その当時の世代の人にとっては、日本の映画が世界で評価されるのは、とても喜ばしいことですよね!

本記事のポイント
  • 映画『生きる LIVING』はどんな作品?
  • 映画『生きる LIVING』のアカデミー賞の受賞は?
  • 黒澤明の『生きる』はどんな作品?

ということを、この記事では解説しています。

ぜひ視聴前に本記事を読んで、映画館に足を運んでみてください!

目次

『生きる LIVING』 概要・あらすじ

1952年に日本で公開された黒澤明監督作品『生きる』のリメイク作品。

脚本はノーベル賞作家でもあるカズオ・イシグロ氏が務めており、アカデミー賞脚色賞にノミネートされました。

公開と同時に非常に高い評価を集め、見事にリメイク作品として成功しています。

日本での公開は2023年の3月31日でしたが、2022年10月に開催された東京国際映画祭でクロージング作品として上映されました。

「生きる喜び」を感じられる、切なくも力強い一作です。

作品情報

監督オリバー・ハーマヌス
出演ビル・ナイ
エイミー・ルー・ウッド
トム・バーク
アレックス・シャープ
時間102分
ジャンルドラマ
制作イギリス

あらすじ

第二次世界大戦後の1953年のイギリス役所の市民課に勤めるウィリアムズは、その性格から周りからも距離を置かれ、孤独な人生を送っていた

ある日、医者から癌であることを告げられ、余命半年だということが判明する

それを機に、「残された人生を大切にしたい」と新たに人生を謳歌する決意をする

その決意と行動が、次第に周りの人々にも影響を与えていく

『生きる LIVING』 注目すべき3つのポイント

ここからは本作品の注目すべき3つのポイントを解説します。

基本的にはネタバレは含んでいないので、まだ観ていない人もぜひ参考にしてみてください。

それでは、いってみましょう!

①主演 − ビル・ナイの演技

主人公ウィリアムズを演じるのは、『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』などの作品に出演しているビル・ナイです。

73歳を迎える彼は、余命宣告がされた男性の残りの人生の向き合い方を見事なまでに示してくれました。

単純な感情の高ぶりではなく、一つ一つの表情や所作はこの物語の繊細さを表し、脚本を務めたカズオ・イシグロも「ビル・ナイあっての作品だ」と語るほどです。

その演技に世界中の多くの方々から賛辞が送られており、海外のレビューサイトなどでも「彼の繊細で感傷的な演技は素晴らしい」などの声が多数投稿されています。

また、その賛辞はとどまることなく、ロサンゼルス映画批評家協議賞で見事に主演男優賞を受賞しました。

②メッセージ − 限られた時間での生き方

こちらは元となった黒澤明監督作品の『生きる』と同様、人生が残りわずかとなった時にどのように生きるのか?ということがテーマになっている作品です。

私たちは日頃「忙しい」や「時間がない」という言葉をよく口にしていると思います。

仕方ないことだと自分に言い聞かせながらも、どこかで諦めをつけているようにも感じることはないでしょうか?

本作の予告動画でもありますが、「長くはないが時間はある」というメッセージこそ、このテーマの本質であると思っています。

わずかでも時間があるのであれば、あと必要なのは行動力と信念だけです。

「時間がないからこそ、できることがある」

そんなことを教えてくれるメッセージが込めれらています。

③脚本 − カズオ・イシグロ

本作で脚本を務めるのは、2017年にノーベル文学賞を受賞したイギリスの小説家のカズオ・イシグロです。

彼は日本人の両親のもとに生まれ、幼少期を日本で過ごした後に渡英しています。

現在は国籍上はイギリス人となっておりますが、たびたび日本のことを口にするなど、日本への思い入れは強くあるそうですね。

本作は、カズオ・イシグロがまだ若かった頃に見た『生きる』から受けた衝撃と、大人になった自身が考える『生きる』の伝え方に加えて、長年過ごしてきたロンドンを掛け合わせて制作した本作品です。

あの名作を当然簡単にリメイクすることは難しいですが、日本をルーツに持ち、『生きる』という作品とともにロンドンの街に想いを馳せていた彼だからこそ描くことができたのではないでしょうか?

映画『生きる LIVING』の アカデミー賞の受賞は?

本作品は2023年第95回アカデミー賞に2部門(主演男優賞・脚色賞)ノミネートされていました。

注目の結果はどうなったのでしょうか?

全体の結果は以下の記事でまとめて紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてください!

惜しくも受賞とはならず

2023年のアカデミー賞では主演男優賞と脚色賞でノミネートされておりました。

ビル・ナイの演技への高い評価を受けていたのですが、『ザ・ホエール』で主演を務めたブレンダン・フレイザーがそれ以上の評価を受け、見事に受賞しました。

脚色賞は、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』が受賞し、本作品はアカデミー賞の受賞とはなりませんでした。

少し残念な結果ではあるものの、そもそもノミネートされるだけですごい名誉なことですので、本作品の評価は変わることはないでしょう。

黒澤明『生きる』とは

出典:https://video.unext.jp/title/SID0018166

黒澤明監督作品の中でも非常に有名で人気な作品で、代表作の『七人の侍』と並ぶ最高傑作とも言われています。

「人間の生死」を正面から捉えている本作は、“ヒューマニズムの頂点”とも評されています。

世界的にも評価された作品であり、世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭では、ベルリン市政府特別賞を受賞しました。

作品情報

監督黒澤明
出演志村喬
日守新一
田中春男
千秋実
時間143分
ジャンルドラマ
制作日本

黒澤明『生きる』 3つのポイント

ここからは、黒澤明監督の映画『生きる』を観る上での注目すべき3つのポイントを解説します。

※ネタバレを含んでおりますので、あらかじめご注意ください。

本作品を知っておくことで、映画『生きる LIVING』がさらに楽しめますので、ぜひチェックしてみてください!

主演・志村喬の「生きる」

癌を患い、余命あとわずかである主人公の渡辺を演じるために減量をして臨んだ志村の演技は、日本にとどまらず世界中でも称賛されました。

中には「世界一の名優だ」と謳う記事もあり、今もなお志村喬の名前が世界に轟いています。

特にこの作品を語る上で欠かせないのは、ブランコを漕ぐシーンですね。

志村喬がブランコを漕ぎながら、「ゴンドラの唄」を今にも消えかかりそうな声で口ずさむシーンは、日本映画屈指の名シーンとなっています。

本作を含めて日本映画で輝き続けた志村喬は、黒澤明の監督作品にも欠かせない存在で、俳優の中で最多の21作品も出演しています。

「生きる」ことが遺すもの

人生残り少ないことがわかり、これからも考えられない中で、渡辺は人との繋がりを通して再生していきます。

その再生とは、これまでの人生のようなしがないものではなく、人が変わったように邁進し出します。

結果的に、渡辺は公園をはじめ多くのものや姿勢を遺してこの世を去っていきました。

あなたは、自分の人生が周りの人や物に影響を与えたかどうか考えたことはありますか?

「影響を与えたい!」と意気込むのももちろん大切ですが、自分の信念のまま生きていたら周りの人にも影響を与えていた、というのが最も美しいのかもしれません。

官僚主義への批判

志村が務める市役所は言わば「お役所仕事」であり、回ってきた書類に判子を押すだけの毎日です。

市民からの要望に対しても、たらい回しになり、行動や責任が伴っている人は一人もいないのです。

その状況を、人生残りわずかである渡辺が打破し、市民のために奔走しました。

そんな渡辺の姿に影響される人もいましたが、渡辺の死後、市役所はいつもの「お役所仕事」に戻っていました。

黒澤明監督は、死に際で最後の活力を振り絞った人間でさえ変えられなかったこの現状を描き、その中には官僚主義への痛烈な批判も含まれています。

まとめ

この記事では、映画『生きる LIVING』を紹介するとともに、黒澤明監督の映画『生きる』についても解説しました。

黒澤明監督は世界でも名を轟かせており、アカデミー賞や世界三大映画賞の全てを受賞した経験があります。

日本の映画史において、彼以上に有名で歴史を残した人はいないでしょう。

主に人気の作品は、『七人の侍』や『隠し砦の三悪人』などの時代劇が多いですが、今回紹介した『生きる』もドラマや舞台になるなど、長きに渡って人気を博しています。

70年の歴史をこえてリメイクされた今作は、70年前を蘇らせた完全なリメイクなのか、新たな作品として価値を築いたのか、果たしてどちらに当たるのでしょうか?

まあ、その判断は見た人たちそれぞれに委ねましょう。

どちらにせよ、日本の歴史が世界に届いたことを喜び、現代の『生きる』に想いを馳せましょう。

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