今や映画界の中心に君臨しているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)
好きな人多いですよね??
『アベンジャーズ』や『スパイダーマン』など、大人気作品ばかりで、興行収入においては、歴代トップ10には4作品もMCU(マーベル)作品からランクインしています。
もはや公開すれば売れるという・・・
映画界において、手に入れていないものはないのではないか?と思われますが、実は手にできていないものもあります。
そう、アカデミー賞
この記事では、MCU(マーベル)作品とアカデミー賞の関係を解説するとともに、今後の受賞の可能性を考察しています。
ぜひ、最後までチェックしてみてください!
- MCU作品のアカデミー賞における歴史
- なかなか受賞できていない理由
- 『ブラックパンサー』が快挙を成し遂げた理由
- 今後の受賞の可能性
アカデミー賞のノミネートされたMCU作品
まずは歴代のMCU(マーベル)作品がアカデミー賞でどれだけノミネートをされてきているのかを紹介します。
もしかすると、MCUとアカデミー賞はあんまり縁がないと思っている人もいるのではないでしょうか?
実はそんなこともなく、結構コンスタントに名を連ねてきています。
一体どんな内容になっているのでしょうか・・・
作品一覧
年 | 作品名 | ノミネート部門 |
---|---|---|
2009年 | アイアンマン | 視覚効果賞、音響編集賞 |
2013年 | アベンジャーズ | 視覚効果賞 |
2014年 | アイアンマン3 | 視覚効果賞 |
2015年 | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー | 視覚効果賞 |
2017年 | ドクター・ストレンジ | 視覚効果賞 |
2018年 | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス | 視覚効果賞 |
2019年 | アベンジャーズ/ インフィニティ・ウォー | 視覚効果賞 |
2019年 | ブラックパンサー | 作品賞、作曲賞、歌曲賞、音響編集賞、録音賞、美術賞、衣装デザイン賞 |
2020年 | アベンジャーズ/ エンドゲーム | 視覚効果賞 |
2022年 | スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム | 視覚効果賞 |
2023年 | ブラックパンサー/ ワカンダ・フォーエバー | 助演女優賞、視覚効果賞、メイク&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞、歌曲(主題歌)賞 |
MCU作品は2022年内までに公開された作品は30作品となっており、そのうち11作品がノミネートされています。
どうでしょうか、多く感じますか?少なく感じますか?
詳しく見てみると、代表作である『アベンジャーズ』シリーズは4作品中3作品がノミネートされており、その他には2023年に3作目が公開された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズは2作品ともノミネートされています。
『アベンジャーズ』1作目がノミネートされた2013年以降からは、ほぼ毎年のようにノミネートされていますね。
MCUは毎年コンスタントに2〜3作品は公開しているので、対象になる作品が多いことも一つの要因なのかもしれません。
主に視覚効果賞
部門別で見てみると、やはり目立つのは「視覚効果賞」です。
「視覚効果賞」とは、優れた視覚効果を使った作品に贈られる賞であり、さらに具体的に言うと、VFXという現実世界では起きないような画面効果を表現する技術を使った作品に贈られる賞になっています。
SF作品には欠かせないもので、映像のクオリティが高いMCU作品はノミネートされていても不思議ではありません。
- アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年)
- DUNE/デューン 砂の惑星(2021年)
- TENET テネット(2020年)
- 1917 命をかけた伝令(2019年)
- ファー・スト・マン(2018年)
なぜ受賞は難しいのか?
2013年頃から、ほぼ毎年のように色々な作品でノミネートを重ねてきたMCU作品ですが、なぜなかなか受賞には至っていないのでしょうか?
気になりませんか?
おそらく、ここまで有名で、売り上げも高く、毎年ノミネートされている作品群は他にはないでしょう。
それほどまでに、MCU作品は今や世界の映画界の覇権を握っていると言っても過言ではありません。
このパートでは、なぜMCU作品はアカデミー賞を受賞できないのか?という点を考察していきます。
そもそもSF作品は作品賞を受賞しにくい
先ほどのパートでは、視覚効果賞はSF作品が受賞している、ということを解説しましたが、作品賞はその逆です。
SF作品は、ほとんど作品賞を受賞してきていません。
年 | 作品賞 受賞作品 | ジャンル |
---|---|---|
2013年 | アルゴ | サスペンス/伝記 |
2014年 | それでも夜は明ける | ドラマ/伝記 |
2015年 | バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) | ドラマ |
2016年 | スポットライト 世紀のスクープ | ドラマ |
2017年 | ムーンライト | ドラマ |
2018年 | シェイプ・オブ・ウォーター | ドラマ/ファンタジー |
2019年 | グリーンブック | ドラマ/コメディ |
2020年 | パラサイト 半地下の家族 | ドラマ/サスペンス |
2021年 | ノマドランド | ドラマ |
2022年 | コーダ あいのうた | ドラマ/音楽 |
2023年 | エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス | コメディ/SF |
MCU作品が本格的にアカデミー賞に登場してきた2013年から見てみると、SF作品で作品賞を受賞したのは2023年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のみです。
さらに驚くべきことを言うと、95年の歴史でSF作品がアカデミー賞作品賞を受賞したのは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のただ1作品だけなんです。
SF作品が作品賞を受賞するのがどれほど難しいかがわかりますね。
そもそもSF映画という定義も難しい部分がありますので、SF作品だけでなくファンタジーやアドベンチャーなどにも幅を広げて考えてみると、2018年の『シェイプ・オブ・ウォーター』が受賞しています。
さらに遡れば、2004年の『ロード・オブ・ザ・リング』/王の帰還』も作品賞を受賞しました。
このように、そもそもジャンルの時点で作品賞では不利な状況に置かれているので、おそらくこの先も作品賞の受賞に関しては、不利な状況であることに変わりはないと思われていました。
しかし、2023年にSF映画が史上初めて作品賞を受賞したことにより、風向きが変わる可能性があります。
作品賞受賞の条件
では、SF映画というジャンルが作品賞をしにくいということであれば、どのような作品が作品賞を受賞するのでしょうか?
ポイントは大きく3つです
ジャンルはドラマ!
過去の作品賞受賞作品では、ドラマ映画ではない作品はほとんどありません。
まあ、簡単に言うと「泣ける」や「感動する」や「グッとくる」と言うような展開が何かしら含まれており、心に残る作品です。
もちろん作品の完成度が高いことは大前提ですが、人々の心を動かす作品は高く評価される傾向にあります。
実話や歴史的事実!
実話や歴史的事実は、アカデミー賞では言わば鉄板ネタです。
昨今で言うと、2019年の『グリーンブック』や2016年の『スポットライト 世紀の発明』などが該当します。
もっと遡れば戦争映画やユダヤ人迫害などの内容自体はフィクションだけれども、歴史背景は実際に起こっていたような作品も同様です。
SF作品と真逆な要素になるので、こうことからSF作品は作品賞を受賞しにくい、ということなのでしょうね。
世相を読んだ社会派!
時代に合わせて社会的、政治的に問題になっているようなことを取り上げた作品はめっぽう強いです。
もはやこの要素がないと非常に難しい、とまで言っても過言ではありません。
2023年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は、「マルチバース」がテーマであり、昨今話題にもなっていることですね。
その他には、「遊牧民」や「貧富格差」、「黒人差別」、「LGBT」などここ数年で話題になったような事柄がテーマとなった作品が受賞しています。
際限がない
あと、これは個人的に感じていることなのですが、MCU作品は途方がないことも大きな要因の一つなのではないかと思います。
2013年頃から毎年ノミネートされているMCU作品ですが、どの作品も素晴らしいことは言うまでもありません。
毎年2〜3作品も素晴らしい作品を量産しているわけで、他のMCU作品と違う圧倒的な理由がないと、毎年受賞してしまうような事態にもなりかねないわけです。
もちろんノミネートされる作品と同様の基準で見られていますが、「MCUが一つ受賞したら毎年受賞してしまう」という絶妙な雰囲気が漂っているように感じます。
ブラックパンサーの快挙
その中で歴史を動かした作品がありました。
それは2018年に公開された『ブラックパンサー』です!!
『ブラックパンサー』は、作品賞を含む7部門にノミネートされ、作曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の3部門を受賞しました。
でも、やっぱり作品賞は受賞できていないんだね・・・
そもそも作品賞にノミネートされたことがすごいんだ!!
過去のMCU作品、もっと言えばスーパーヒーロー映画において、アカデミー賞作品賞にノミネートされた歴史はありません。
本作品は、史上初めてスーパーヒーロー映画でアカデミー賞作品賞にノミネートされた作品となり、新たな歴史をつくりました。
作品賞にノミネートされた理由
なぜ他のMCU作品と違って本作品は作品賞のノミネートされたのでしょうか?
その理由には、先ほど紹介した「作品賞受賞の条件」が大きく関係しています。
『ブラックパンサー』は、アフリカにある架空の国「ワカンダ」を舞台としており、自国を守るための戦いを描いた作品です。
理由①:黒人の活躍
アフリカにある国ということで、登場人物はほぼ全員黒人で構成されています。
これまでアカデミー賞の歴史では黒人が虐げられてきていましたが、時代の変化に合わせて黒人や多人種に対してリスペクトを表する風潮に変わってきていました。
2015年〜2016年には「白すぎるオスカー」と問題になりましたね
その中で黒人がしっかり活躍する作品がMCUの高い完成度で制作された、ということが大きな要因の一つになっているのではないでしょうか?
理由②:女性の活躍
本作品でメインとなるキャラクターの多くは女性です。
女性としての力強さ、凛々しさ、かっこよさ、その他様々な要素を感じられる内容となっており、それぞれの女性キャラクターへのファンになった方も多いのではないでしょうか?
昨今では、性別に対する考え方についても大きく変化してきているので、このような女性の活躍が見られたことも大きな要因の一つになっているのではないかと思います。
2017年あたりにセクハラ問題も話題になってたね!
以上の2点が大きな要因だと思いますが、そのほかにも「アフリカ民族」という多人種というところにも少なからず理由はあるのかもしれません。
作品としての素晴らしさに加えて、このように具体的に紐解くといろいろと見えてくるものがありますね。
快挙は作品賞だけではない
『ブラックパンサー』が成し遂げた快挙は作品賞のノミネートだけにとどまりません。
2022年に公開された続編の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で、ラモンダ女王を演じたアンジェラ・バセットが助演女優賞にノミネートされました。
この俳優部門にノミネートされたことも、MCU作品にとっては初めての快挙となります。
結果としては受賞には至りませんですが、直前まで大本命の評価を受けており、相当高い評価をされていたことがうかがえます。
また、アカデミー賞では受賞を逃しましたが、ゴールデングローブ賞では見事助演女優賞を受賞しています。
今後の受賞の可能性
ここまでの内容では、過去作品の結果やその理由を解説してきましたが、そうなると気になるのは「今後の受賞の可能性」ですよね。
これに関しては、個人的には「大いに受賞の可能性はある」と思っています。
理由はさまざまありますが、やはりMCU作品の完成度の高さとファンを巻き込むストーリー性は他を寄せ付けないものがあります。
だからこそ、時代にばっちりハマった「ブラックパンサー』が先述のような結果となっているわけです。
テーマやメッセージが時代にハマれば、あとの要素は十分満たせているように感じるので、この作品には期待しかありません。
可能性のある賞
作品賞への注目が集まるものの、全体的に見ると他にも受賞できる可能性がある部門はたくさんあります。
受賞の歴史が浅いので、ここからはどの部門を受賞しても快挙となりますね!
今後受賞しうる可能性のある部門は以下のとおりです。
- 作品賞
- 監督賞
- 主演男優(女優)賞
- 助演男優(女優)賞
- 美術賞
- 撮影賞
- 視覚効果賞
- 編集賞
- 音響賞
- 歌曲(主題歌)賞
- メイク&ヘアスタイリング賞
すでに受賞した部門は除外しておりますが、見てもらうとわかるようにほぼ全ての部門を受賞可能です。
アニメや外国語映画、ドキュメンターリなどの物理的に難しい賞以外は、不可能な理由がありません。
個人的には、アンジェラ・バセットの例もありますので、俳優賞は受賞できる可能性は非常に高いと思っています。
あとは主題歌がバズったりすると歌曲賞の受賞も見られるかもしれませんね。
作品賞はもちろんですが、何か賞を受賞することがMCU作品をさらなるステップに導くことになりますので、ぜひその瞬間を見てみたいものです。
まとめ
この記事では、MCU(マーベル)作品とアカデミー賞の関係の解説と今後の受賞の可能性を考察しました。
- 11作品がアカデミー賞にノミネートされてきた
- 受賞できないのは、「ジャンル」と「テーマ」が大きな要因となっている
- 『ブラックパンサー』は「テーマ」が要因となり、作品賞にノミネートされた
- 今後の作品賞受賞の可能性は大いにある!あとは時代にハマるかどうか・・・
毎年注目を集めるMCU(マーベル)作品ですが、その注目がアカデミー賞にまで及ぶと、アカデミー賞にとっても大きな注目を集めるチャンスとなりますので、いいことしかありませんよね。
だからこそ受賞作品が出てくる日を心待ちにしています。