2023年第95回アカデミー賞授与式が近づいてきましたね。
そして、アカデミー賞の裏では世界で色々な映画賞や映画祭が行われており、その結果にも大きな注目が集まっています。
しかし、こんなことが気になりませんか?
世界には、アカデミー賞以外にどんな映画賞や映画祭があるの??
今日はそんな方に向けて、世界の映画賞・映画祭を紹介します!

それぞれに特徴があって興味深いですよ!
最も注目度が高いのはもちろんアカデミー賞ですが、それぞれの映画賞・映画祭を知ることで、アカデミー賞にも背景を感じることができるので、より楽しめること間違いなしです!
それではいってみましょう!
アカデミー賞/ゴールデングローブ賞
映画が好きな方もそうでない方も、おそらくアカデミー賞はご存知かと思います。
最も有名な賞であり、世界のその他の映画賞・映画祭はアカデミー賞に向けた前哨戦と言っても過言ではありません。
そして、そのアカデミー賞に最も近い関係に位置しているのが、ゴールデングローブ賞です。
アカデミー賞の前哨戦として、アカデミー賞の結果にも大きな影響を与えています。
アカデミー賞
Presenting your Best Picture nominees for the 95th Academy Awards. #Oscars95 pic.twitter.com/tYQlWty91Z
— The Academy (@TheAcademy) January 24, 2023
- 国:アメリカ
- 時期:3月
- 主催:映画芸術科学アカデミー
- 初回:1929年
過去5年の受賞作品一覧
年 | アカデミー賞作品賞 受賞作品 |
---|---|
2022 | コーダ あいのうた |
2021 | ノマドランド |
2020 | パラサイト 半地下の家族 |
2019 | グリーンブック |
2018 | シェイプ・オブ・ウォーター |
受賞の傾向としては、社会的や歴史的なメッセージ性の強い作品が受賞する傾向にあり、そのテーマは多岐にわたっています。
しかしながら、昨今では投票する協会員の人種の多様化が図られたことにより、作品賞の受賞傾向が少しずつ変化してきていると言われています。
アカデミー賞は、基本的にアメリカ映画が対象とされており、非英語作品は「国際長編映画賞(外国語作品賞)」の対象となっていましたが、2020年に『パラサイト 半地下の家族』が、その常識を覆して作品賞を見事受賞しました。
また、サプライズの多い映画賞としても有名であり、2017年は『ラ・ラ・ランド」の受賞が確実視されていましたが、『ムーンライト』が受賞することになりました。


ゴールデングローブ賞


- 国:アメリカ
- 時期:1月
- 主催:ハリウッド外国人映画記者協会
- 初回:1944年
過去5年の受賞作品一覧
年 | ドラマ部門 | ミュージカル・コメディ部門 |
---|---|---|
2023 | フェイブルマンズ | イニシェリン島の精霊 |
2022 | パワー・オブ・ザ・ドッグ | ウエスト・サイド・ストーリー |
2021 | ノマドランド | 続・ボラット |
2020 | 1917 命をかけた伝令 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド |
2019 | ボヘミアン・ラプソディ | グリーンブック |
ゴールデングローブ賞の最大の特徴としては、作品賞・主演男優賞・主演女優賞は「ドラマ部門」と「ミュージカル・コメディ部門」に分かれて受賞作品が決まります。
本賞がアカデミー賞における最大の前哨戦になっている理由は、アカデミー賞前のアメリカの映画賞として最後に開催されているためです。
また、それにより本賞で作品賞を受賞した多くの作品が、勢いのままアカデミー賞も受賞したことから、この両賞は非常に密接な関係にあると言われています。
そして、本賞は「派手好き」という特徴を持っており、王道作品や有名な俳優・女優が受賞する傾向が強いのですが、アカデミー賞と同様に昨今の傾向としてはその限りではありません。


世界三大映画祭
国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編映画祭の中でも、とくに有名で人気のある三つの映画祭を指します。
アカデミー賞などの映画賞との違いが大きく二点あります。
- コンペティション形式であること
- イベントとしてマーケットなどが併設されていること
映画館で公開された作品を対象にしているアカデミー賞に対して、初めて作品をお披露目する場が映画祭となっており、また、映画業界人がプロモーションの場として自らや作品を売ることを目的としています。
カンヌ国際映画祭


- 国:フランス
- 時期:5月
- 主催:フランス国際映画祭協会
- 初回1946年
過去5年の受賞作品一覧
年 | パルム・ドール受賞作品 |
---|---|
2022 | 逆転のトライアングル |
2021 | TITANE /チタン |
2020 | パラサイト 半地下の家族 |
2019 | 万引き家族 |
2018 | ザ・スクエア 思いやりの聖域 |
日本では、世界三大映画祭の中で最も有名であり、世界的にも権威性の高い映画祭になっています。
それは、カンヌ国際映画祭で併設されているマーケットも、世界三大マーケットとしての規模を持っていることに起因しています。
アカデミー賞とは受賞作品の傾向は異なり、感動路線ではなく、社会の構造などを忠実に捉えた作品が受賞する傾向にあります。
2018年には日本の作品『万引き家族』が受賞して、日本でも一気に有名な映画祭になりましたね!


ヴェネツィア国際映画祭


- 国:イタリア
- 時期:8月末〜9月初旬
- 主催:ヴェネツィア・ビエンナーレ
- 初回:1932年
過去5年の受賞作品一覧
年 | 金獅子賞 受賞作品一覧 |
---|---|
2022 | All the Beauty and the Bloodshed |
2021 | あのこと |
2020 | ノマドランド |
2019 | ジョーカー |
2018 | ROMA /ローマ |
世界最古の歴史を持つ映画祭であり、大きな特徴としては、映画祭の中でも「芸術性」の高い作品が受賞する傾向にあります。
そのため、受賞作品のラインナップは他の映画祭や映画賞と異なることが多くなっています。
しかし、一方で世界三大映画祭の中では、昨今最もアカデミー賞受賞作品と近しい傾向もあります。
最高賞の名称が「金獅子賞」と呼ばれ、ヴェネツィアの守護聖人の象徴であることから名付けられたようです。
日本の作品では、1997年に北野武監督の『HANA-BI』が受賞しました。
ベルリン国際映画祭


- 国:ドイツ
- 時期:2月
- 初回:1951年
過去5年の受賞作品一覧
年 | 金熊賞 受賞作品一覧 |
---|---|
2022 | Alcarràs |
2021 | アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ |
2020 | 悪は存在せず |
2019 | シノニムズ |
2018 | タッチ・ミー・ノット〜ローラと秘密のカウンセリング〜 |
世界の映画祭の中で、最も来場者数の多い映画祭として人気を博しています。
ベルリン国際映画祭は、「社会派」の作品が受賞する傾向にあり、ヨーロッパにとどまらず世界各国の作品が受賞しています。
2023年、『すずめの戸締り』が最高賞の金熊賞にノミネートされていましたが、惜しくも受賞とはなりませんでした。
日本では、2002年に『千と千尋の神隠し』が金熊賞を受賞しました。
世界の主要な映画賞・映画祭
その他の主要な映画賞、映画祭を二つ紹介します。
特にこの二つはアカデミー賞にも大きく影響していると言われており、「アカデミー賞の前哨戦」の一つとして数えられています。
英国アカデミー賞


- 国:イギリス
- 時期:2月
- 主催:英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)
- 初回:1947年
過去5年間の受賞作品一覧
年 | 作品賞 受賞作品 |
---|---|
2023 | 西部戦線異状なし |
2022 | パワー・オブ・ザ・ドッグ |
2021 | ノマドランド |
2020 | 1917 命をかけた伝令 |
2019 | ROMA /ローマ |
イギリスの映画文化のための映画賞であるため、イギリスが関わる作品が受賞する傾向にあります。
しかし、作品賞と英国作品賞の部門があり、作品賞はアカデミー賞やゴールデングローブ賞の受賞作品とやや近い結果となっています。
元々は4月に開催されており、3月に開催されるアメリカのアカデミー賞とは別物として捉えていました。
しかしながら、アメリカのアカデミー賞で世間の熱は冷め、全く注目されなかったので、アカデミー賞直前の2月に変更されました。
日本の作品は、まだ作品賞の受賞経験はありませんが、非英語作品賞には、2022に『ドライブ・マイ・カー』が受賞しています。


トロント国際映画祭


- 国:カナダ
- 時期:9月
- 初回:1976年
過去5年間の受賞作品一覧
年 | ピープルズ・チョイス・アワード 受賞作品一覧 |
---|---|
2022 | フェイブルマンズ |
2021 | ベルファスト |
2020 | ノマドランド |
2019 | ジョジョ・ラビット |
2018 | グリーンブック |
世界の国際映画祭の中でも、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ来場者数を誇っています。
世界三大映画祭との決定的な違いは、トロント国際映画祭はノン・コンペティションであるため、最高賞も「ピープルズ・チョイス・アワード」という観客賞となっているという点です。
また、過去の受賞作品がアカデミー賞作品賞を受賞していることや、9月に開催されることから、その年の賞レースを左右する重要な場となっています。
日本では、2003年に北野武監督の作品『座頭市』がピープルズ・チョイス・アワードを受賞しました!


アメリカの主要な映画賞
最後に、アメリカで行われている主な映画賞を紹介します。
これらも注目されていますが、上記の映画賞・映画祭と比較して少し注目度は下がります。
アメリカの主要な映画賞一覧
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー
- 全米映画批評家協会賞
- クリティクス・チョイス・アワード
- インディペンデント・スピリット賞
ここでは紹介していませんが、他にもアメリカにはさまざまな映画賞がありますので、気になった方はぜひ、チェックしてみてください!
まとめ
今回は、世界の主な映画賞・映画祭を紹介しました。
それぞれの国で、特色を持って映画文化を盛り上げています。
改めて図でまとめると、以下のようになります。





特に、アカデミー賞とゴールデングローブ賞、世界三大映画祭を受賞すると、興行収入が一気に増加する効果があります。
時期別に見てみると以下のとおりです。
月 | 映画賞・映画祭 |
---|---|
5 | カンヌ国際映画祭 |
8 | ヴェネツィア国際映画祭 |
9 | トロント国際映画祭 |
1 | ゴールデングローブ賞 |
2 | 英国アカデミー賞 ベルリン国際映画祭 |
3 | アカデミー賞 |
時期に偏りはありますが、1年間楽しめるようになっていますね。
毎年、映画賞や映画祭を通して、名作映画が世界に誕生しています。
その瞬間を追いかけ、色々な情報をもとに予想すると、ますます映画の虜になってしまうのかもしれません。
しかし、「それでよかった」と心から思える瞬間を、名作映画はいつも私たちに示してくれています。