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asa(あさ)
映画が大好きな28歳会社員

年間300本程度の映画作品(洋画がほとんど)を鑑賞している映画好きです◎

アカデミー賞で輝く俳優・女優の姿に感動し、アカデミー賞などの映画賞をもとに映画の魅力を発信しています。

【2023年第95回アカデミー賞】日本作品の受賞の可能性は?『ドライブ・マイ・カー』から日本映画の未来を考える

先日のゴールデングローブ賞も終わり、いよいよアカデミー賞への舞台も整った、というところでしょうか。

その中で私たち日本人として気になるのは、今回のアカデミー賞で日本の作品は受賞できるのか?ということですね。

記憶に新しいですが、1年前日本の映画が世界に衝撃を与えました。

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』です。

2022年第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞し、作品賞にもノミネートされました。
日本映画の歴史上で最も評価されたと言っても過言ではないでしょう。

『ドライブ・マイ・カー』はなぜアカデミー賞を受賞できたのか?

これを考えることで、日本の作品が2023年第95回アカデミー賞できるのか?という疑問のヒントになります。

というわけで、今回は2023年第95回アカデミー賞での日本の候補作品を紹介するともに、『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞に輝いた理由から今後のアカデミー賞での日本映画の未来について紹介します。

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目次

2023年第95回アカデミー賞の受賞はある?

今回のアカデミー賞では、候補作品は1作品のみとなります。
少し寂しい気持ちもありますが、年によってはそのようなことも有り得ます。

候補作品は以下のとおりです。

『犬王』/湯浅政明


出典:https://inuoh-anime.com/

概要

監督:湯浅政明
出演:アヴちゃん、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊
時間:97分

『マインド・ゲーム』や『夜は短し歩けよ乙女』で監督を務めた湯浅政明の最新作。
実在したと言われる能楽師・犬王を描いた新進気鋭の狂想ミュージカルアニメーション。

日本アニメの繊細さと壮大さを日本の伝統芸能である猿楽に乗せてミュージカルとして完成させた、斬新でありながら趣を感じられる一作です。

アカデミー賞前哨戦のゴールデングローブ賞において、アニメ映画賞にノミネートされるも惜しくも受賞を逃しました。

受賞の可能性は?

今回も長編アニメ映画賞の候補となっておりますが、正直、受賞は難しいのではないかと思っています。

前途の通り、ゴールデングローブ賞を逃しており、対抗作品も非常に強いです。
その一つがゴールデングローブ賞アニメ映画賞を受賞した『ギレルモ・デル・トロのピノキオ』です。

対抗作品も強く、やや難しい状況ですが、ともあれ日本の作品が候補に挙がるのは嬉しいことです。
結果はどうであれ、私たちは最後まで応援したいですね!

『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞に輝いた理由

概要


出典:https://dmc.bitters.co.jp/

監督:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生
時間:178分

予告動画

あらすじ

舞台役者であり、演出家でもあった家福(かふく)には脚本家の妻・音(おと)がいた。
平凡な日々を送っていたある日、家福は見たくもない妻の秘密を目撃してしまう。
その秘密に触れることなく妻の音は亡くなり、失意の中迎えた広島の舞台で、無愛想な運転手・渡利みさきと出会う。
次第にお互いの胸に秘めたものが解き放たれていく。

見どころ

※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

①舞台のセリフや脚本が問いかけてくる

この作品は、現実に存在する舞台や演劇を扱っています。そのため、セリフや脚本がたびたび流れてきますが、その内容が家福の現状とリンクしていたり、中々腑に落とすことができない感情を間接的に表しています。
非常に凝った演出だと思いながらも、失意の中にいる家福が踠きながらも前に進むことを決めた後に放つセリフには、魂が宿っているように見受けられました。

②西へ北へのロードムービー

妻の音を亡くした後、舞台で広島に行くことになります。
その地では瀬戸内海が広がっており、綺麗な海がとてもよく映えます。海が大きくて、綺麗だからこそ人間の存在の小ささをどこか感じさせます。
北は北海道で、真っ白な雪面が広がるみさきの以前の家の様子には、雪なような儚さや切なさを感じながらも、春=新しい人生を思わせてくれます。

③推し量ることすら難しい他人の心情

主要な登場人物は、みな闇を抱えています。
娘と妻を亡くし、自責の念をもつ家福や夫を愛しながらも他の刺激を求めてしまった妻の音、そして家福にとっての因縁でもあり、過去の失敗から這いあがろうとする高槻、23歳の若さで身寄りなく、縁もゆかりもない広島でドライバーをするみさき。
「わかる」なんて言葉では片づけられないほど深く、当人同士は決してわかり合おうとはしません。それでも「わからない」けど、手を取り合うことはできる、というメッセージを感じさせるようにお互いが生きていく姿にはわずかながらの勇気をもらえます。

アカデミー賞受賞の要因を考える

ここからは『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞を受賞することとなった要因を考えていきます。
あくまで私の個人的な見解になりますので、ご了承ください。

①作品の完成度

これはもはや言う必要もないかもしれませんが、それでもアカデミー賞を受賞した大きな要因のひとつであることは間違いないので、挙げさせていただきます。

ストーリーはもちろんですが、出演者の方々の演技が凄まじいです。「どこか闇を抱えているけれど、人に打ち明けることはない」という中々難しい特性をそれぞれの背景からしっかり演じられています。
岡田将生さんの車内の独白のシーンでは、思わず瞬きを止めてしまいました。

また景色の映し方、車内の会話劇など、ストーリー以外でも魅力のある場面が多くあるので、178分の長さを感じさせることはありません。

②映画の国際性とその意味合い

やはり見た方が気になるのは舞台の演出ですよね。
日本人だけでなく、出演者の多くは外国人で、セリフの言語もバラバラです。作品内でオーディションに参加する人たちは当然困惑し、中には手話で会話する人も現れます。

この演出について濱口監督は「言葉の意味以外でやり取りすることで、作品の本来の意味にも通じる」とおっしゃっています。
映画もまさにそうですよね。面白い作品は誰がどの言語の映画を見ても面白いはずです。字幕で意味がわかるのは当然ですが、それ以外に好きになれる要素がたくさんありますよね。
本作品全体の演出や、出演者の演技などもその域に達しているように感じます。

濱口監督は、本作品を通して世界中の多くの方に「言葉の意味合い以外」のメッセージを感じ取って欲しかったのでしょう。

③濱口監督の実績

本作品が有名になる前に濱口監督の存在を知っていた方はどのくらいいるのでしょうか?

このような映画賞では、誰しもが受賞する可能性を秘めていますが、これまでの実績で評判の上がり方が変わるのも事実です。

濱口監督作品では、脚本として参加した2020年の『スパイの妻』がヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞し、さらに監督を務めた2021年の『偶然と想像』はベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞しています。

本作品もカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し、世界3大映画祭を席巻するという偉業を成し遂げています。
だからこそ、「あの濱口監督の作品か」と言われる時代になってきています。

現に、2019年『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞作品賞を受賞したポン・ジュノ監督は、濱口監督について、このように言っています。

濱口竜介監督は、最近の日本やアジアにおいて、非常に稀有な監督だ。
執拗に、粘り強く、決して焦ることなく、着実に自身が伝えようとするところに辿り着く。
どれだけ時間がかかったとしても。そんな怪物のような強靭さを備えている。
『寝ても覚めても』の時から既に巨匠の領域に入っていたが、その巨匠の領域を証明した映画が『ドライブ・マイ・カー』だ。

引用元:映画『ドライブ・マイ・カー』公式サイト(https://dmc.bitters.co.jp/)

④前哨戦の戦績

アカデミー賞は一般的に3月中旬ごろに行われ、全世界の映画賞の総決算でもあります。そのため、それまでの映画祭や映画賞で実績を残しておくと非常に有利です。

そんな中で『ドライブ・マイ・カー』が受賞した映画賞は以下のとおりです。

全米映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、脚本賞、最優秀男優賞
カンヌ国際映画祭:脚本賞
ゴールデングローブ賞:外国語映画賞
英国アカデミー賞:外国語映画賞
インディペンデント・スピリット賞:外国語映画賞
ニューヨーク映画批評家協会賞:作品賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞:作品賞、脚本賞
ロンドン映画批評家協会賞:脚本賞、外国語映画賞
フランス映画批評家協会賞:外国語映画賞

見慣れないかもしれないですが、これはとんでもない成績です。
アカデミー賞では、もっと評価されても良かったのでは?とさえ思ってしまいます。

とは言え、このような前哨戦で外国語映画賞を総なめにしていた本作品に、アカデミー賞国際長編映画賞においては、もはや相手はいなかったでしょう。

まだ作品賞は高い壁?

それでもまだ作品賞には届きませんでした。
本作品は日本映画で初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされた作品です。

これはもはや偉業です。
日本では誰も成し遂げなかった作品賞ノミネートですから。
しかし、ノミネートされたことに喜んでばかりいてもいいのでしょうか・・・

アカデミー賞作品賞の歴史

アカデミー賞作品賞を受賞した作品の中で、外国語の映画が受賞したのはわずか1作品のみです。
そう、それは『パラサイト 半地下の家族』です。

なぜ『パラサイト 半地下の家族』は受賞できたのか?

①社会的なメッセージ性

アカデミー賞作品賞を受賞した作品の多くは、社会的な問題を取り上げています。

・ノマドランド(2021年):ノマドという高齢労働者
・グリーンブック(2019年):人種差別
・ムーンライト(2017年):LGBT
・スポットライト 世紀のスクープ(2016年):性的虐待
・それでも夜は明ける(2014年):人種差別・奴隷

『パラサイト 半地下の家族』も、富裕層と貧困層の格差というテーマの作品となっています。

映画としての完成度が高かったのはもちろんですが、そのテーマを見事に描き切り、世界中で絶賛されました。

②前哨戦の戦績

本作品は、カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールをはじめとした世界各国の映画賞を総なめにしていきました。

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日本の作品が作品賞を受賞するためには

正直、そう遠くない未来なのではないかな・・・と思います。

現に『ドライブ・マイ・カー』や、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』など、世界で評価されている作品も多数出てきています。

前途の通り、作品のクオリティに加えて、社会的な問題をテーマとした作品を作ることができるか、が一番のキーになります。
それも、世界に理解される社会的な問題です。

あなたは何か身近な社会的な問題を思いつきますか?

私たち日本国民を含めて、世界中を巻き込むような社会的な作品が『ドライブ・マイ・カー』のようなクオリティで公開されると、その時は日本映画が世界の頂点に立てるのかもしれません。

まとめ

いかがですか?
今年のアカデミー賞も楽しみですね!

日本映画の傑作から学び、今後の日本映画の未来とともに今回のアカデミー賞にも注目していきましょう!

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