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asa(あさ)
映画が大好きな28歳会社員

年間150本程度の映画作品(洋画がほとんど)を鑑賞している映画好きです◎

アカデミー賞で輝く俳優・女優の姿に感動し、アカデミー賞などの映画賞をもとに映画の魅力を発信しています。

【ネタバレ解説】映画『エルヴィス』 2023年アカデミー賞主演男優賞ノミネート

みなさんは、映画『エルヴィス』は見ましたか?

伝説のロック歌手のエルヴィス・プレスリーの生涯を描いた今話題の映画です。

主演のオースティン・バトラーの演技が高い評価を集め、2023年のアカデミー賞でも作品賞や主演男優賞でノミネートされていますね。

世代によっては、「エルヴィス・プレスリーって名前は聞いたことあるけど、実際どんな人か知らない」という人も多いのではないでしょうか?

本作品は上映時間が約160分あり、エルヴィス・プレスリーのことを深く知れるとともに、そのパフォーマンスなどに圧倒される超大作になっています。

この記事では、そんな映画『エルヴィス』のレビューや解説を行っています。

  • エルヴィス・プレスリーが起こした革命
  • エルヴィス・プレスリーが失った愛

などに焦点をあてて解説しています。
※ネタバレを含みます。

また、注目の集まる2023年アカデミー賞の行方についても考察していますので、こちらも参考にしてみてください♪

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目次

映画『エルヴィス』 概要・あらすじ

予告動画・概要

監督:バズ・ラーマン
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、ヘレン・トムソン、リチャード・ロクスバーグ
時間:159分
配給:ワーナー・ブラザーズ

あらすじ

突如倒れ、瀕死状態のトム・パーカー大佐は、エルヴィスとの半生を語りだす

アメリカの黒人街であるメンフィスで幼少期を過ごしたエルヴィスは、黒人の音楽文化であるゴスペルやR&Bに衝浸水し、当時アメリカで流行となっていたカントリーミュージックと融合させた新しい唯一無二の音楽を作り出す

奇抜な見た目と独特のダンスで世の女性を魅惑し、トム・パーカー大佐にマネジメントされながら、瞬く間にアメリカのスターダムにのし上がっていく

富・名声の全てを手に入れたはずだったエルヴィスだが、次第にさまざまな闇に蝕まれていき、歯車が狂いだす

レビュー・解説

①エルヴィス・プレスリーとは?

エルヴィス・プレスリーは、アメリカのロックスターです。

「最も成功したソロアーティスト」と言われており、その功績は多岐にわたります。

CDやレコードなどの総売り上げは5億枚を超えており、後世の音楽界に多大なる影響を与えてきました。
エルヴィスの音楽についての解説は②で具体的に行います。

ビートルズやクイーンなど、後に世界の音楽界の中心に存在していたアーティストも軒並み口を揃えて彼への敬意を口にしています。

その影響力は凄まじく、当時あまり馴染みのなかったリーゼントヘアやド派手な格好が若者の間で大流行し、これまで音楽というカルチャーがあまり根付いていなかった若年層にも音楽を染み渡らせていきました。

抜群のアイドル性と音楽性で新しい歴史を作り、「キングオブ・ロックン・ロール」とまで呼ばれる存在となっています。

②人種を繋げた革命の音楽

エルヴィスが育ったアメリカのミシシッピ州のメンフィスという街は、多くの黒人が暮らしていました。

そんな街で過ごしていたので、黒人文化に深く触れる幼少期を過ごしていたのです。
中でもゴスペルやR&B(リズムアンドブルース)などの音楽文化に触発され、これがエルヴィスの音楽のルーツになっています。

1950年代当時のアメリカでは人種隔離の色が非常に強く、黒人に対する非人道的な扱いが横行していました。

その中で、白人であるエルヴィスが黒人のような風貌で黒人の音楽を声高らかに歌い上げます。

アメリカ内で瞬く間に人気が出るとともに、その人気はこれまで黒人の音楽に触れていなかった白人の若者に多大なる影響を与えていきます。

その影響力は音楽シーンだけにとどまらず、若者の文化そのものになりつつありました。

エルヴィスの活動は革命となり、まさに人種と世代の架け橋になったのですが、アメリカの根深い人種差別の歴史が大きな壁となり、次第に行手を阻まれてしまいます。

それでも人間は禁欲的であればあるほど、その反動は凄まじいものになり、人気は増していく一方でした。

エルヴィスは、音楽やファッションなど、これまで人種や道徳に抑え込まれていたものを解放し、国民に新しい夢を与えたのでした。

③「人」としてではなく、「商品」としてのエルヴィス

トム・ハンクス演じるトム・パーカー大佐には、非常にイライラさせられましたね。
お金になることは全てやってのけ、そのためには手段を問いませんでした。

とにかく金儲けのことしか考えておらず、そのためにエルヴィスの才能と音楽を利用していました。

エルヴィスは自分の好きな音楽で世界を魅了し、幼い頃からの夢であったスーパーヒーローになれたと言っても過言ではないほどまでになっていましたが、その行く先々に「商業」という名の障壁が生まれてきます。

好きでもない歌を歌わされ、好きでも映画作品に出演させられ、世界ツアーを行うこともできない。

「何のためにこんなことをやっているんだ?」と自問自答をするエルヴィスは、いつしか、かつて夢を追いかけた音楽への情熱を奪われ、巧みに仕掛けられたお金儲けの的にされてしまうのでした。

現代でもよくある話ですよね。

「好きな音楽」と「売れる音楽」

好きだったバンドがメジャーデビューした途端すごく路線変更していて、ショックを受けるファン。

聴衆の私たちはそのバンドに対して不満を吐きますが、その裏にはとてつもない苦悩や葛藤があるのかもしれません。

④スーパーヒーローは、目の前の愛を失う

世界中を熱狂の渦に包んだエルヴィスですが、富や名声を手にいれた結果あらゆることに変化が起こります。

周りの環境もそうですが、一番変わったのはエルヴィス自身でした。

「幸せ」の基準が上がってしまい、これまでの暮らしでは満足がいかなくなります。
自分を満足させるためや恐怖心を紛らわすためにお金を使い、女や薬にも手を染め、自らを破滅の方向に追いやっていきました。

そして、深く愛していた母親と妻を失い、自分の命までも失ってしまったのです。

「スーパーヒーローになりたい」という夢を掲げた少年期。

その夢を叶え、まさに世界のスーパーヒーローとなった彼は、世界中のファンに音楽と愛を届ける代償に、最も近くにある何よりも大切な“愛”を失ってしまうのでした。

もちろん人は変わりゆく生き物です。
ただ、変わっていく中でも、決して変えてはいけない大切なものはあるのではないでしょうか?

それはものすごく身近で、ものすごく見えにくいものなのかもしれませんね。

2023年アカデミー賞の行方

主演男優賞 最有力!

2023年のアカデミー賞において、本作品は8部門のノミネートと、全体で4番目に多い数となっています。

その中でも、もっと注目を浴びているのは主演男優賞です。

本作品の代名詞と言ってもいい、オースティン・バトラーの演技。

エルヴィスを演じきるだけにとどまらず、彼のアイデンティティを感じさせる演技になっていましたね!

本編中の歌に関しても、オースティン・バトラー本人が歌っており、その歌唱力の高さにも大きな注目が集まりました。

ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞した彼は、アカデミー賞においても本命であることに間違いはありません。

もちろん、その他ノミネートの顔ぶれも非常に豪華で、“絶対”はないのですが、それでも個人的にはオースティン・バトラーに軍配が上がるのではないかと思っています。

「アカデミー賞では、実在する人物は強い」という定説もあり、今回実在する人物を演じるのはオースティン・バトラーのみなので、やはり最有力と言えるでしょう。

アカデミー賞8部門ノミネート! 部門一覧

ノミネートされた8部門は以下のとおりです。

作品賞/主演男優賞/衣装デザイン賞/編集賞/美術賞/音響賞/ヘア&メイクアップ賞/撮影賞

やはり華やかな音楽の世界を描いただけあって、撮影系の賞(音響、撮影)や見た目系の賞(美術、ヘア&メイクアップ)はノミネートされていますね。

何と言っても作品賞にノミネートされたので、ここには大きな注目が集まります。

作品賞は唯一10作品がノミネートされる(他部門は5作品)ので、受賞の難易度は最も高いですが、せっかくノミネートされたので、最後まで期待はしたいですね!

まとめ

いかがでしたか?
より映画を楽しめるきっかけになっていたら幸いです

栄光に潜む闇。

それは本人にも、他の誰にも気付けないことなのかもしれません。

今回はトム・パーカー大佐目線で語られるエルヴィスでしたので、そこまで心理的な描写は描かれていなかったように感じました。

それもトム・パーカー大佐にとっては、あくまで「商品」でしかないので、それをより無機質に感じさせるための構図になっているのではないかと感じました。

全体にまとめると、、、

  • 黒人の文化を取り入れ、音楽と人種の歴史を変えた
  • 名声と引き換えに、最も近くて偉大な母親と妻を失ってしまった

このような感じになりますね。

昨今では、『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』など、偉大なるアーティストの反省を描いた作品が増えてきています。

こうして、かつての流行が歴史になり、歴史が映画になっていく。

私たち自身もこれまで熱中したこと、今熱中していることが、やがて歴史となり、いつの日か映画になっていくのかもしれません。

その時、オースティン・バトラーのような魂の演技で、私たちを魅了してくれることを楽しみにしましょう。

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