自宅に映画館のある人はいますか?
多くの人は「No」と答えるでしょう。
これまでは「映画は映画館で見るもの」として、公開から何ヶ月後かにやっとDVDを借りることができる、という世の中でした。
そんな世の中に一石を投じ、今では全世界のスタンダードにもなったものがあります。
それはVOD(ビデオ・オン・デマンド)です。
月額料金を払えば、好きな時にサイト内の作品が見放題というサービスで、現在ではサービス数も増えており混戦してきましたが、その中でも有料会員数という面から覇権を握っているのがNetflixです。
最初はこれまでの映画やドラマ作品を見れるサイトとして機能していたNetflixも近年ではオリジナル作品の制作も精力的に行っており、そのオリジナル作品がある場所で猛威を振るうようになってきました。
そう、、、アカデミー賞です。
昨今、どんどんアカデミー賞の場にNetflix作品が増えてきており、2023年第95回の今回でも大きな注目が集まっています。
Netflixオリジナル作品で第95回アカデミー賞の候補になっている作品とは??
こう思われている方のために、今回はNetflixで見れる2023年アカデミー賞候補 の5作品を紹介します!
気になる作品があったら、ぜひチェックしてみてください!

アカデミー賞とNetflixの関係性
Netflixオリジナル作品がアカデミー賞の場で脚光を浴び始めたのは最近の出来事であり、2019年のアカデミー賞で「ROMA」が作品賞を含む7部門にノミネートされ、大きな注目を浴びました。
結果的には3部門の受賞となったものの、この作品が起源になっています。
ここからNetflixオリジナル作品は、アカデミー賞の場でメキメキと頭角を表していくことになり、前回の第94回では10作品27部門がノミネートされ、Netflixが最多ノミネートとなりました。
しかし、アカデミー賞とNetflixでは少し論争が起きてもいます。
それは、Netflixオリジナル作品が映画館で上映することに前向きでないため、アカデミー賞にふさわしくないのではないか、ということです。
アカデミー賞の対象となる作品は「ロサンゼルス郡内の商業映画館で一週間以上連続して有料上映された、作品時間が40分以上で、劇場公開前にテレビ放送、ネット配信、DVD等が発売されていない作品」です。
そのため、Netflixは本来映画館での上映は行なっていませんでしたが、アカデミー賞受賞のために最低限の上映のみを行ってきました。
最近では日本でもNetflixオリジナル作品が映画館で上映されるようにもなり、少しずつ受け入れられつつありますね。
やはり「映画は映画館で見るもの」という認識が非常に強くあるのは当然なことなので、受賞作品が増えていくことで世間の認識もどんどん変わっていくのではないかと思います。
主な受賞作品
過去のNetflixオリジナルで、アカデミー賞を受賞した主な作品は以下のとおりです。
・2019年「ROMA」
−監督賞、国際長編映画賞、撮影賞
・2020年「マ・レイニーのブラックボトム」
−衣装デザイン賞、メイク・ヘアスタイリング賞
・2021年「Mank/マンク」
−美術賞、撮影賞
・2022年「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
−監督賞
など
上記のような作品が今回も生まれてほしいですね。
それでは候補作品を見ていきましょう!
Netflixで見れる!2023年アカデミー賞候補 5作品!
①ナイブズ・アウト/グラス・オニオン
出典:https://www.netflix.com/title/81458416
予告動画
概要
2019年にNetflixで配信された前作「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」の続編。
大富豪マイルズのプライベートな島での謎解きゲームに参加することになった名探偵ブランは、そこで起こった殺人事件を推理することになる。
監督を務めたのは、前作に引き続き「スタ・ウォーズ/最後のジェダイ」で監督を務めたライアン・ジョンソンです。
前作はアカデミー賞脚本賞にノミネートされ、ミステリー作品として人気を博しており、満を持して制作された第二弾にも大きな注目が集まります。
また、主演のダニエル・クレイグは、ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)でノミネートされましたが、惜しくも受賞とはなりませんでした。
本作はアカデミー賞において、作品賞を含む10部門で候補にあがっていましたが、ノミネートが発表され、脚色賞のみのノミネートとなりました。
候補部門
作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞、編集賞、メイク・ヘアスタイリング賞、作曲賞
ノミネート
脚色賞 ※1/25追記
②西部戦線異状なし
出典:https://www.netflix.com/title/81260280
予告動画
概要
1929年にドイツで出版された同名小説を原作とした作品。
第一次世界大戦下に最大の戦場ともなった西部戦線へ向かう17歳のパウルの視点から、無慈悲なまでの戦争の現実を描く。
1930年にアカデミー賞作品賞を受賞した同名の作品のリメイクではなく、原作小説をもととして再び映画化した作品になり、ドイツで制作された作品になります。
第一次世界大戦化のドイツはナチス党ヒトラーの指揮のもと、世界でも猛威を振るっており、多くの犠牲を生んできました。
その過去に対するアンチテーゼとして、本作品の持つ反戦へのメッセージがどこまで作品として評価されるか注目ですね。
2022年10月28日に全世界で配信されてから、瞬く間に広まっていき、アカデミー賞においても9部門ノミネートされるほど期待の集まる作品になっています。
さらには2023年2月にイギリスで開催される英国アカデミー賞では作品賞を含む最多の14部門ノミネートされました。
「パラサイト 半地下の家族」以来のアカデミー賞作品賞と国際超映画賞のダブル受賞に期待したいですね!
候補部門
作品賞、監督賞、脚色賞、美術賞、撮影賞、メイク・ヘアスタイリング賞、音響賞、視覚効果賞、国際長編映画賞
ノミネート
作品賞、監督賞、脚色賞、美術賞、撮影賞、メイク・ヘアスタイリング賞、音響賞、視覚効果賞、国際長編映画賞
※1/25追記
レビュー・解説
下記記事でレビュー・解説を紹介しております。(ネタバレあり)

③ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
出典:https://www.netflix.com/title/80218455
予告動画
概要
イタリアの児童文学作品「ピノッキオの冒険」を原作としたミュージカルアニメーション作品。
亡くなった息子を思う寂しさから生まれたピノッキオが、“人”としての生きようと奮闘する物語。
監督を務めたのは、「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞作品賞を含む4部門を受賞したギレルモ・デル・トロです。
日本の特撮を好む彼は、「シェイプ・オブ・ウォーター」や「パシフィック・リム」などのように、人間と他の生物の共存を描いた作品が特徴的です。
本作品もその要素が強く、突如命を宿したピノッキオがまっすぐ生きていくことで周りの人間を巻き込んでいく様子がおもしろく感動的でもあります。
アカデミー賞の候補としては、長編アニメーション賞においてトップを走っています。
無事にノミネートはされましたので、受賞できるかどうか注目です。
前哨戦のゴールデングローブ賞では見事アニメ映画賞を受賞しました!大本命の行方が気になりますね!
候補部門
長編アニメーション賞、脚色賞、作曲賞、歌曲賞
ノミネート
長編アニメーション賞 ※1/25追記
④ブロンド
出典:https://www.netflix.com/title/80174263
予告動画
概要
マリリン・モンローの生涯を描いた作品。
一世を風靡した伝説の大女優の栄光と、反射する闇をフィクションとして真っ向から捉えている。
あのマリリン・モンローを演じるのは「ブレードランナー2049」や「ナイブズ・アウト /名探偵と刃の館の秘密」に出演しているアナ・デ・アルマスです。
彼女はゴールデングローブ賞の主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされ、受賞とはならなかったものの、アカデミー賞での輝きに期待しましょう。
本作品はフィクションとしながらも、真実かのように描いている点で大きな批判を浴びている作品でもあり、映画レビューサイト「Filmarks」での評価は3.1と平均より大きく下回っています。
この辺りも受賞には影響してくる可能性がありますが、女優としての華やかさを描いたと言う点で、衣装デザイン賞やヘアスタイリング賞などの受賞の可能性ありました。
しかしながら、先日アカデミー賞のノミネートが発表され、惜しくもノミネートには至りませんでした。※1/25追記
候補部門
主演女優賞、衣装デザイン賞、メイク・ヘアスタイリング賞
ノミネート
主演女優賞 ※1/25追記
⑤マーサ・ミッチェル – 誰も信じなかった告発 –
出典:https://www.netflix.com/title/81488054
予告動画
概要
アメリカの政治界最高のスキャンダルである「ウォーターゲート事件」を告発したマーサ・ミッチェルの勇姿を捉えたドキュメンタリー作品です。
1972年、ニクソン共和党政権が大統領選での再選を目指していたが、共和党の関係者がウォーターゲートビル内に構える民主党本部への不法侵入・盗聴などが発覚し、ニクソン大統領が辞任に追い込まれることになった事件
ニクソン政権で司法長官を務めていたジョン・ミッチェルの妻であるマーサ・ミッチェルが誘拐・監禁をされながらも、ウォーターゲート事件を正面から批判し、正義を貫く姿が実際の映像とともに描かれています。
アカデミー賞において、特にドキュメンタリー部門ではNetflixオリジナル作品は無類の強さを誇っており、長編と短編合わせて過去に5作品もアカデミー賞を受賞しています。
短編ドキュメンタリー賞では、本作品に加えて、『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』もノミネートされており、またしてもNetflixオリジナル作品に軍配が上がる可能性が高まっています。
当時を知らない世代の人々にも、このような歴史を正面から捉え、当時の映像とともに教えてくれる本作品に、Netflixオリジナル作品のさらなる可能性を感じます。
候補部門
短編ドキュメンタリー賞
ノミネート
短編ドキュメンタリー賞 ※2/7追記
まとめ
気になる作品はありましたか?
今となってはNetflixやAmazon PrimeやU-NEXTといった、いわゆるVODに登録するのは当たり前となってきました。
「映画は映画館で見るもの」と言う認識が少しずつ変わってきており、Netflixのようにオリジナルの映画作品を制作されていると、家でも最新映画が見れるわけです。
しかし、まだ多くの映画作品は映画館で上映し、何ヶ月後かにやっと家でも見れるようになっています。
これを踏まえると、今後最新映画を家で見れるようになるのは、なかなか難しいことだと思います。
そうなると残される道としては、“Netflixオリジナルから世界を巻き込むような作品が制作されること”です。
簡単に言うと、世界No1映画を輩出することです。
昨年のアカデミー賞作品賞大本命と言われながらも惜しくも受賞とはならなかった「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を超える作品で、アカデミー賞作品賞を受賞することが未来への大きな一歩となるのでしょう。
私は過去に見たある作品で、今でも胸に残っているセリフがあります。
「明かりを消したら、夢の中だ」
映画好きな少年がなんとか工夫をして家の中に簡易的な映画館を作ったシーンの言葉です。
みなさんは、映画館でこれから作品が始まるぞ!と劇場が暗くなるときに気持ちが高揚した経験はありますか?
そこからは大きな画面以外からは何も情報が入ってこない、私たちはいわば“夢”の中にいます。
Netflixオリジナル作品がアカデミー賞を席巻し、世界をリードする存在となったとき、私たちの家の中には長年待ち侘びた“夢”が届けられることになるのでしょう。
私はそのような未来が来ることを信じています。