みなさん、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は見ましたか??
2023年3月3日に公開された最新作です!
この年のアカデミー賞では作品賞を含めた最多の7部門を受賞しました!

最高におもしろかった!!
この記事では、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のあらすじとレビューを紹介するとともに、以下のポイントで解説しています。
- マルチバースの世界
- 人生は「あの時、ああしていればよかった」の連続
- 「無意味な人生」 – ジョイの選択
- 世界を救ったのは「親切さ」?
- それでも、「この人生でよかった!」
※ネタバレを含みますので、あらかじめご注意ください。
また、2023年のアカデミー賞の行方などについても解説していますので、そちらもぜひチェックしてみてください!
それでは、いってみましょう!
概要
本作品は、今話題の制作会社である「A24」の最新作として、話題を集めた作品です。
A24制作の作品の中で、最も高い興行収入を記録した記録的な作品で、日本の公開の影響でさらに伸ばしていくでしょう。
話題のテーマである“マルチバース”を舞台に、爽快なアクションと過去映画作品のオマージ満載のコメディで描かれており、笑いあり・涙ありの家族で楽しめる作品となっています。
さらには2022・23年の映画賞を総なめし、合計で495ノミネート、228受賞と大盛況となっています!
そして、もっとも注目を集める2023年のアカデミー賞では、作品賞を含める最多の7部門を受賞し、下馬評通り栄冠を手にしました!
監督 | ダン・クワン/ダニエル・シャイナート |
出演 | ミシェル・ヨー ジョナサン・キー・クァン ステファニー・スー ジェイミー・リー・カーティス |
時間 | 132分 |
ジャンル | コメディ/ファンタジー |
制作 | アメリカ |
予告動画
あらすじ
コインランドリーを営むエブリンと夫のウェイモンド
夫婦の関係は冷めきり、税金の処理やわがままの父の介護に追われ、そして娘ジョイのガールフレンドの存在を認められずギクシャクするなど、多くの問題を抱えていた
ある日、国税庁で夫ウェイモンドから突如「宇宙を救え」と言われ、マルチバースの世界に飛ぶことになる
マルチバースに飛び込んだエブリンは、別宇宙の自分の力を借りながら、敵と闘っていくのだが、巨大な敵として存在していたのは、娘のジョイであった
ネタバレ解説
それでは、本作品のネタバレ解説にいきましょう!
改めて本作品のポイントをおさらいします。
- マルチバースの世界
- 人生は「あの時、ああしていればよかった」の連続
- 「無意味な人生」 – ジョイの選択
- 世界を救ったのは「親切さ」?
- それでも、「この人生でよかった!」
それぞれ解説していますので、ぜひチェックしてみてください!
※ここからはネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
マルチバースの世界


本作品のテーマは「マルチバース」です。
エブリンが過ごす現在の人生とは異なり、これまでの人生の岐路で別の選択をした場合の宇宙が同時に存在している、というやや難しい内容となっています。
そして、それぞれの別宇宙の自分に乗り移り、その自分から力を得て、宇宙を救っていくため奮闘しています。
文章だけで見ていたら、すでに「??」を浮かべてしまいますよね。
一言で言うと「パラレルワールドの自分が乗り移る」といった感じでしょうか。
なぜマルチバースを飛び交うことになったのか?というと、別宇宙の娘ジョイ(ジョブ・トゥパキ)がバースジャンプ(別宇宙移動)の実験台にされたことによる自我の崩壊により、全宇宙にカオスをもたらしてしまい、全宇宙を救うためにエブリンに白羽の矢が立ったからです。
別宇宙では、いろいろな姿となったエブリンが登場します。
アクション映画スター、ピザ屋、シェフ、盲目の歌手、手がソーセージになった人(笑)など・・・
それだけでワクワクさせられる内容になっていますよね!
昨今、世界で注目される「マルチバース」は、マーベル作品などでたびたび見られ、トレンドでもあります。
後ほど解説しますが、本作品はこの「マルチバース」を物語のギミックとしているだけでなく、人生・家族などの普遍的なテーマにつながるメタ的要素として描かれている点が大きなポイントですね。
人生は「あの時、ああしていればよかった」の連続


初めてバースジャンプを行うとき、エブリンはこれまでの人生の走馬灯を見ます。
夫のウェイモンドと駈落ち結婚をしていなかった別宇宙では、アクション映画スターとなっている自分を見て、エブリンは「あの時駆け落ちしなければよかった」と後悔します。
本作品では、その「もしも」の世界を実際に描き、さらに現在のエブリンがその人生を体験するところも面白いポイントですよね。
SF作品なので、現実味のない展開ではありますが、みなさんも一度は感じられたことがあることではないでしょうか?
「もし、あの時ああしていれば、今頃どんな人生を送っていただろう?」
これは永遠のテーマであり、ある意味日常の一幕なのかもしれません。
振り返れば、挫折してしまったことや失敗してしまったこと、諦めてしまったことなんて数えきれないほどあるはずです。
しかし、本作ではエブリンがそのわずかな可能性があった人生の自分から力を得ながら、現在の自分自身が大きく成長していく姿が描かれています。
「無意味な人生」 – ジョイの選択


本作品のラスボス「ジョブ・トゥパキ」は娘のジョイでした。
ジョブ・トゥパキ(ジョイ)はベーグルを頭に浮かべ、「何をしても最終的には消えてしまう、無意味な人生だ」と過去の経験から人生を諦め闇に堕ちた人の象徴として登場しています。
現在の世界においては、自営業で忙しく、頭ごなしに否定され、自分の恋愛を認めてくれない母との関係から、タトゥーなどを入れて反発し、関係修復はもはや無理だろう、という状況でした。
そうやって放任されながらも都合よく縛られた経験は別宇宙でも起こっており、自分の人生は諦めさせられ実験台にされてしまい、いつの日か目から光は消えてしまいます。
まるで確定申告や父親の世話などの忙しさに追われ、人生に希望を見出せていない現在のエブリンかのように思います。
徐々に成長し、娘を救うためにジョブ・トゥパキ(ジョイ)に寄り添うエブリンでしたが、現在の世界でも抱く人生の無意味さを改めて感じ、ベーグルの中のブラックホールに吸い込まれそうになるのでした。
そして「全部どうでもいい」と言わんばかりに、エブリンはあらゆる別宇宙で保っていた秩序を自ら壊していきます。
エブリンとジョイが岩になり、下品なセリフで笑い合うシーンなんかは、この宇宙の無意味さを象徴していましたよね。
この宇宙に「正義」と「悪」が存在するのならば、その二つは非常に紙一重なものなのではないでしょうか。
人はみな、ほんのわずかなボタンの掛け合わせで真逆の道を進んでしまうのかもしれません。
エブリンがコインランドリーを営んでいなかったら、もっと普段から寄り添ってあげられていたら、父親に「ジョイのガールフレンド」と紹介していたら、、、それぞれわずかな選択の違いに過ぎないのに、いつの間にか膨れ上がってしまいます。
世界を救ったのは「優しさ」?


闇落ち寸前のエブリンを救ったのは、夫のウェイモンドでした。
序盤はアルファ・ウェイモンドとして乗っ取られていたので、ウェイモンド自身の活躍はほとんどなく、むしろちょっと情けない男のような描かれ方をしていました。
しかし、ウェイモンドは身体を張って、自らを殺めようとしたエブリンを助けようとします。
「たとえまた傷つけられたとしても、別の人生でまた君とコインランドリーをしたい」
そして、エブリンに人間の優しさや愛を説き、闇から引き戻すのでした。
ウェイモンドと結婚していなかったらアクション映画スターになれていたけれども、一方のウェイモンドもエブリンと結婚していなかったら映画界のスターになれていたわけです。
それでも「君とまたコインランドリーをしたい」と言うウェイモンドの姿に、この作品の示す「愛」が溢れています。
そして、優しさと愛を知ったエブリンは、昨日の敵は今日の仲間と言わんばかりに、自らに向かってくる相手をみんな愛していきます。
あんなに厳しかった監査官を抱きしめたり、父に「ベッキーはジョイのガールフレンドよ」と紹介したり、、、
そうして敵が次第にいなくなった宇宙で、立ちはだかるのはジョブ・トゥパキ(ジョイ)のみとなりました。
ジョイを愛するために寄り添おうとすると、ジョイはそれを拒否します。
別宇宙でも、無意味さの象徴であった岩であるジョイは自ら崖を降りていきます。
言うなればジョイは自らの人生における「希望」に蓋をしている状態でしたから、それを開けられる恐怖だったのでしょう。
それでもエブリンは、「あなたは太りすぎだし、タトゥーも嫌いだけど、あなたの人生だから。それでも私はいつも一緒にいたい」とジョイが娘として生まれたこの人生に「愛」を見出してみせました。



崖から堕ちた岩(ジョイ)を追いかけ、自らも崖を落ちていく岩(エブリン)の姿にはグッときましたね。
先ほど、「正義」と「悪」は紙一重だと言いましたが、紙一重なだけあって、すぐにボタンの掛け違いを直せるのかもしれません。
難しいと思って触れないようにしていた由々しき問題も、人間の親切さと愛で取り戻せることを教えてくれる作品なのではないでしょうか?
それでも、「この人生でよかった!」


本作品の終着点はやはり「この人生でよかった!」というところではないでしょうか?
マルチバースを通して、さまざまな宇宙を旅して、一時は憧れる人生を見つけたエブリンでしたが、娘のジョイ・夫のウェイモンドとの絆は、この宇宙の人生だから得られたものなのでしょう。
生きていれば、後悔することも、失敗することも、諦めてしまうこともたくさんあるでしょう。
果たして、この人生は何も意味のなかったことなのでしょうか?
決してそんなことはありませんよね。
後悔したからこそ次に活かせた今の人生があり、失敗したからこそ教訓になっている今の人生があり、諦めてしまったからこそまた違うチャレンジが見えた今の人生があるはずです。
人生は「あの時、ああしていればよかった」の連続です。そう思う人もきっと多いはずです。
しかし、必ず「この人生でよかった」と思えている、あるいはそう思える日が来ます。
エブリンにとって、それがウェイモンドと結婚したこと、そして娘としてジョイが生まれたことでしたよね。
「あの時、ああしていればよかった」と「この人生でよかった」の間には、果たして何が存在しているのでしょうか?
もしかすると本作品のように、知らないうちにマルチバースの世界が広がっているのかもしれませんが、やはり自分自身、相手、周りの人々に対する「愛」を持つことで、その間を埋めることができるのではないかと思っています。
各レビューサイトでの評価


本作品の世間の反応や評価について紹介します。
それぞれ点数と主なレビューを3件ずつ紹介していますので、気になる方はぜひリンク先をチェックしてみてください!
Filmarksの使い方については以下の記事を参考になります。
Filmarks
・全てがうまくいかない世界で生きていくことを決断するエブリンに目頭が熱くなった
・人生に意味が無いのであれば、まとめて大切にすればいい、そんなことを感じた
・あらゆるテーマが含まれているが、よくまとめられている作品
Filmarks:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』映画情報・感想・評価ページ(https://filmarks.com/movies/100622)
IMDb
・非常に深く、本当に感動的で、陽気で、想像力に富んだ作品
・自分の心の中身を画面で見ているような感覚になった
・史上最も独創的であり、何度も観たくなる作品
IMDb 『Everything Everywhere All at Once』(https://www.imdb.com/title/tt6710474/)
Rotten Tomatoes
・ミシェル・ヨーは中年の移民としての可能性を見出した
・素晴らしいパフォーマンスと、感動的で面白い脚本である
・この作品が全てのマルチバースに存在していることを願っている
Rotten Tomates 『Everything Everywhere All at Once』 (https://www.rottentomatoes.com/m/everything_everywhere_all_at_once)
主要な映画賞を総なめ中!
本作品は、2022年・23年の多くの映画賞を総なめにしております。
主な受賞は以下のとおりです。
- ゴールデングローブ賞(主演女優賞/助演男優賞)
- クリティクス・チョイス・アワード(作品賞/脚本賞/助演男優賞)
- オースティン映画批評家協会賞(作品賞)
- ロサンゼルス映画批評家協会賞(作品賞)
向かう所敵なしの本作品が狙うはアカデミー賞制覇です!
アカデミー賞最多ノミネート!
Everything has led to this. Congratulations to our 18 Academy Award nominees including Everything Everywhere All At Once, The Whale, Aftersun, Marcel The Shell With Shoes On, Close, and Causeway! #Oscars2023 pic.twitter.com/F469dcv9fQ
— A24 (@A24) January 24, 2023
2023年のアカデミー賞では、全作品最多の11ノミネートとなっています。
ノミネート部門一覧
- 作品賞
- 監督賞
- 主演女優賞
- 助演男優賞
- 助演女優賞×2
- 脚本賞
- 編集賞
- 衣装デザイン賞
- 作曲賞
- 歌曲賞
作品賞を含む最多7部門を受賞!


2023年3月13日にアカデミー賞授賞式が開催され、見事作品賞に輝きました!!!
さらに、7部門を受賞し、全作品の中で最多部門数の結果となりました。
詳しい情報は以下の記事をチェックしてみてください。
まとめ
今回は、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のあらすじ・レビューとともに、ネタバレ解説を紹介しました。
- マルチバースとは、別次元の宇宙であり、別の人生を送る別の自分が存在している
- 「もしもの世界」を知り、後悔を抱きながらも現在の世界を生きていく
- ジョブ・トゥパキは、愛を与えられなかったことにより人生への虚無感を抱いていた
- 無意味であったとしても、「優しさ」と「愛」が宇宙を救うきっかけとなった
- どんな人生でも、「優しさ」と「愛」があれば幸せなものになる
みなさんはどんな感想を抱きましたか?
他にも最新映画の解説をしていますので、そちらもチェックしてみてくださいね!